治療・予防 2024/12/24 05:00
進行を予測する指標発見
~間質性肺炎の早期治療で(大阪大学大学院 榎本貴俊医師ら)~
健康増進を図るための身体活動の目標値は、65歳以上で1日約6000歩(国民健康づくり計画「健康日本21」)である。ただし最近の研究では、歩行や体操など10分未満の活動を積み重ねれば健康効果が得られることが分かっている。東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)の清野諭主任研究員に話を聞いた。
「プラス10」
◇積み重ねがポイント
運動の有無で余命には大きな差が出る。例えば、東京都健康長寿医療センター研究所などの研究グループの論文によると、1週間に2.5~5時間程度歩く60歳以上の人はそうでない人より死亡率が19~30%低く、脳卒中や心筋梗塞などの心血管系疾患による死亡率は25~34%低い。
健康日本21が推奨する1日約6000歩は、速歩、ラジオ体操などの運動、買い物や庭掃除など生活活動の40分程度に相当する。一方、清野研究員は「推奨値を満たさなくても、健康効果が得られる。10分未満の『ちょい足し』運動を積み重ねることにも意義がある」と話す。
例えば低強度活動(ストレッチや洗濯などの家事)を計1日約3時間行えば、要介護認定リスクが37%減少し、中強度活動(散歩、ウオーキングなど)を約40分行えば、要介護認定リスクが50%低下するという研究結果がある。
「運動は毎日でも、週末の土日にまとめて行ってもよく、何歳から始めても効果があります。90代から陸上競技を始め、100歳で日本記録保持者になった男性もいます」
◇すぐにできる工夫
清野主任研究員は、すぐに実行できる工夫として、座りっ放しを避ける「ブレイク30」と、1日10分余分に動く「プラス10」を挙げる。
ブレイク30は、椅子やソファから30分ごとに立ち上がって伸びをしたり、体を動かしたりする。頻繁に立ち上がることは、足腰の筋力維持、食後の血糖値や中性脂肪の減少などにつながり、脳卒中などの心血管疾患予防にも重要だ。
プラス10は、「10分=約1000歩」と考え、最初の1カ月間は、庭仕事、筋トレなどを10分、次の1カ月間はさらに10分という具合に段階的に増やしていく。
「庭仕事10分、筋トレ10分、趣味の活動10分というように、10分単位で考えると、1日約40分が目標でも無理なく達成できます」と清野主任研究員はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/05/22 05:00)
【関連記事】治療・予防 2024/12/24 05:00
進行を予測する指標発見
~間質性肺炎の早期治療で(大阪大学大学院 榎本貴俊医師ら)~
治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
治療・予防 2024/12/23 05:00
生殖医療での男性の権利
~紛争防止、子の福祉にも(大阪大学大学院 村岡悠子招聘教員)~