足の負担を見直す
~うおのめ(埼玉県済生会川口総合病院 高山かおる主任部長)~
その名の通り、魚の眼球のように見えるうおのめ。歩くときなどに激しい痛みを伴う例もあるが、「痛みを感じて症状に気が付くことは、悪化を防ぐ意味で大切です。足に無理な力を加える行動を見直すきっかけにしましょう」と、埼玉県済生会川口総合病院(川口市)皮膚科の高山かおる主任部長は話す。
足を前に出すときのこつ
◇角質層がねじのように
うおのめは、足の特定部分に圧力が加わり続けることで皮膚表面にある角質層の一部が硬くなり、皮膚の内側に円すい状に入り込んだ状態を指す。「足裏で地面をひねるような力がかかると、硬くなった角質層の一部がねじのように皮膚の内部に入り込み、歩行時などに神経を圧迫して痛みの原因となります」
かかとの高い靴を履いたときなどに体重がかかる足裏の前方の他、小指の外側や指の間にできやすい。痛みがあれば、皮膚科を受診し患部を削る。通院の頻度や治療期間はうおのめの状態によってさまざまだが、月2回までであれば保険診療となる。
しかし、より大切なのはセルフケアだ。靴ひもをきちんと結んだり、靴の甲の部分にストラップを付けたりする他、インソールや薄いシリコン製のクッションを靴の中に敷くなど、靴の中で足が滑って無理な力がかかるのを防ぐことが重要となる。
サリチル酸を配合した市販の貼り薬で患部を柔らかくする方法もあるが、特に足の裏に貼るとずれやすいので患部以外に薬剤が付かないよう注意する。また、皮膚が柔らかい指の間に貼ると、皮膚を傷つける場合があるので長時間の貼付は避ける。
◇靴と歩き方で改善も
これらは一時的な対症療法であり、足に負荷のかかる原因を見直さないと再発しやすい。再発を防ぐために、「まずは靴を見直しましょう」。歩くときは、ウオーキングシューズなど歩くのに適した靴を選ぶとよい。
足に負担の少ない歩き方をする必要もある。歩き方で特に大切なのは、〔1〕顔を上げて目線を前に向ける〔2〕足先を正面に向け左右交互に真っすぐ足を出す〔3〕手の振りを前後で均等にする―の3点だ。さらに、かかとから着地したら小指側から親指側に体重移動して、足が後ろに返る時に指全体で地面を押す。
「靴や歩き方を見直せば、頻繁に通院しなくても、うおのめが改善するケースもあります。まずは靴や歩き方を見直し、それでも痛みが続く、糖尿病やリウマチなど足に合併症が起こりやすい基礎疾患があるといった場合は、皮膚科に相談してみてください」と高山主任部長は助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/08 05:00)
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