治療・予防 2024/11/21 05:00
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地震などの被災者は血圧が上昇することがある。1カ月ほどで落ち着くことが多いが、その後も注意が必要な人もいる。災害後に生じる高血圧の理由と対策について、東日本大震災で支援に携わった南三陸病院(宮城県南三陸町)の西沢匡史副院長(内科)に聞いた。
災害後の高血圧対策
◇塩分の影響受けやすく
「避難生活では精神的なストレスや環境の変化で眠れないなど、生活のリズムが崩れます。すると、体のさまざまな機能を調節している自律神経のバランスが乱れ、活発にさせる交感神経が優位になります」
交感神経が活性化すると、血圧上昇の原因となる塩分を体にため込みやすくなり、仮に平時と同じ量の摂取でも血圧が上がってしまう。
「被災当初は塩分の多い非常食が主体となる一方、塩分排出効果のあるカリウムが豊富な野菜の摂取が減ります。やむを得ませんが、血圧を上げる理由の一つです」
高齢者、慢性腎臓病、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病の人も塩分摂取に反応しやすく、血圧が上昇して脳卒中や心筋梗塞のような合併症を来す恐れがある。
交感神経の活性化に水分の摂取不足、活動量の低下などが加わると、血管内に血の固まり(血栓)ができやすくなる。血圧上昇と血栓形成の傾向が重なれば、合併症のリスクはさらに高まる。
◇血圧の自己測定を
自宅に戻るなど比較的安心できる環境になれば、ストレスが軽減して血圧も安定すると考えられる。しかし、「災害から時間がたっても、余震などをきっかけに記憶がよみがえり、落ち着いていた血圧が上昇することがあります。対策を続けることが必要です」。
例えば、自宅や避難先で、可能なら血圧を測ること。最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上なら、医療機関を受診する。他には▽減塩を心掛ける▽適切な睡眠時間を確保する▽体重の増減を災害前と比べて2キロ以内に抑える▽高血圧や血栓症治療の服薬を続ける―などがある。
高血圧の人は、被災の有無にかかわらず普段から自分の血圧を把握し、減塩に努めたい。災害にも備え、「服用中の降圧薬の1週間分程度は余分に持てるよう、医師に相談してはどうでしょうか」と西沢副院長はアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/06/19 05:00)
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