治療・予防 2024/11/21 05:00
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鼻血は一度に大量に出たり、繰り返したりする場合は注意が必要だ。「命に関わる病気が隠れている可能性もあります」と兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)耳鼻咽喉科・頭頸部外科の都築建三主任教授は説明する。
小鼻をつまんで真下を向き安静に
◇下を向き安静に
鼻の中の粘膜には多くの血管があるため、鼻をかんだりこすったりして鼻の中の血管に傷が付くと出血する。空気が冷たく乾燥する冬場は特に要注意だ。中でも、鼻の中を左右に隔てる壁「鼻中隔(びちゅうかく)」の、鼻の穴から1センチほど奥にある「キーゼルバッハ部位」には血管が集中しており、鼻血の大半はここから出る。
粘膜を傷つける外傷の他、アレルギー性鼻炎や副鼻腔(びくう)炎などの炎症、鼻腔内のできものなど、鼻血の原因はさまざまだ。
「鼻血が出ても落ち着いて。洗面所で椅子などに座り、小鼻の柔らかい部分をつまんで床を見るように真下を向き、5~10分間ほど安静にします。上は向かないようにしましょう」
上を向くと喉に血が流れ、それが固まって窒息したり、血を飲み込むことで吐き気を催したりする時がある。「ティッシュペーパーなどを鼻に詰めると、粘膜をさらに傷つけて余計に出血したり、鼻の奥に入り過ぎて取り出せなくなったりする可能性があります」。首の後ろをたたくのも、止血には役立たないという。
◇長時間、多量の出血は注意
10分経過しても止まらなかったら、危険な病気も疑われるという。「洗面器を満たすくらい多量に出血する、出血の勢いが強く下向き姿勢でも血が喉まで流れてくる、風邪症状のような発熱とだるさを伴うといった場合は、何らかの深刻な病気が隠れているケースがあります」
血管がもろく、心筋梗塞など循環器疾患の合併も多い糖尿病や、止血を促す血液凝固因子というタンパク質がうまくつくれない肝臓の病気、血液凝固因子が生まれつきない血友病、止血を担う血小板が少なくなる白血病などが考えられる。
また、血液をさらさらにする薬(ワーファリンなど)の影響や、まれだが、あらゆる臓器から出血する可能性のあるオスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)も懸念される。
「日ごろから十分な睡眠を取り、疲労をため込まないことも鼻血予防に役立ちます。10分以上経過しても止まらなかったり、週に3回ほど出血したりするようなら、耳鼻咽喉科を受診しましょう。先ほど紹介した危険な病気の家族歴がある方も注意が必要です」と、都築主任教授はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/07/01 05:00)
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