血友病〔けつゆうびょう〕 家庭の医学

 血液の中には、血が固まるのに必要な凝固因子が何種類か含まれています。血管が切れて出血しはじめた場合、出血している部位に血小板が集まって固まり、そこに凝固因子がついてよりしっかりした栓になります。
 ある種の凝固因子が生まれつき欠乏しているために、出血したときに血が固まりにくく、血がとまらなくなるのが血友病です。第Ⅷ因子が欠乏しているのが血友病A、第Ⅸ因子が欠乏しているのが血友病Bです。どちらも、X連鎖性潜性(劣性)遺伝し、男子のみに発病します。女子は保因者となります。

[症状]
 新生児期に出血症状が出ることは少なく、動きはじめるころから出血しやすいことに気づかれます。すこしぶつけただけでも大きな皮下出血ができたり、関節内出血、筋肉内出血や鼻血がとまらないなどの症状があり、まれに頭の中に出血することもあります。
 関節内出血を起こした場合は、関節がはれて曲がらなくなり、やがて治りますが、くり返しているうちに関節がかたくなったり変形してしまうこともあります。

[治療]
 根本的治療法はありません。出血時には凝固因子製剤を注射します。凝固因子製剤を予防的に在宅自己注射で定期補充として使用するなど、治療、管理方法が改良され、出血のコントロールがかなりできるようになっています。
 凝固因子製剤は、ウイルスを取り除いたヒト血漿中の凝固因子や遺伝子組み換え技術により合成した製剤を使用しています。
 小児慢性特定疾患に指定されています。20歳以降は、先天性血液凝固因子障害等治療研究事業による医療費補助があります。

医師を探す