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尿路感染症は、主に尿の通り道に細菌が侵入して炎症が起こる。宮城中央病院(仙台市青葉区)内科の赤石哲也部長は、成人男女294人を対象に、排便後のお尻の拭き方に関するアンケート調査を実施、「前から手を入れて、肛門部を後ろから前に向かって拭く」と回答した女性は、尿路感染症に罹患(りかん)した回数が多い傾向があったという。
赤石部長は「尿路感染症を防ぐためにも、お尻の拭き方をセルフチェックしましょう」と話す。
拭く方法
◇女性は罹患率高い
尿路感染症の原因菌は大腸菌が最も多い。菌は一般的に尿道口から尿道、膀胱(ぼうこう)と侵入し、さらに腎盂(じんう)に達すると、腎盂腎炎を発症し高熱や背部痛を起こす場合もある。「尿路感染症のリスク要因は、尿道口周囲の衛生状態、免疫機能、水分摂取量、性行為、排尿障害、糖尿病などの併存症とさまざまです。これらの要因は複合的に影響し、便に含まれる大腸菌が尿路に入れば、尿路感染症を発症する場合があります」
尿路感染症は男性よりも女性に多く、女性の約半数が生涯に一度は罹患(りかん)すると推定されている。「女性は肛門から尿道口までの距離が短く、さらに手前に膣(ちつ)があるため帯下(たいげ=おりもの)や性行為による汚染もリスクを高めます」
糖尿病患者は男女とも感染症にかかりやすく、膀胱炎を繰り返すケースもある。「糖尿病の合併症の一つである神経因性膀胱になると、勢いよくスムーズに排尿できず、残尿を来しやすく細菌の温床になります」
◇便による汚染防ぐ
赤石部長は2020~23年、検診受診者などを対象に排便後のお尻の拭き方に関する調査を実施し、30~50歳代を中心に男性141人と女性153人の回答を得た。
集計の結果、「足の間に前から手を入れて、肛門部を後ろから前に向かって拭く」としたのは、男性が32人(23%)に対し、女性は68人(44%)に上った。また、40~50歳代の女性61人の解析では、前から手を入れる拭き方が、尿路感染症に罹患する回数の増加につながる可能性が示された。
「赤ちゃんのお尻のケアと同じで、排便後は、肛門周囲の便が膣や尿道口に広がらないようにします。まず温水洗浄を使うと、細菌が周囲に飛び散る可能性もあるため、トイレットペーパーで拭いた後洗浄する方が衛生的でしょう」
今回の調査で、前から手を入れて拭く人も少なくない可能性が見えた。赤石部長は「特に女性は尿路感染症にかかりやすいため、排便後は後ろから手を入れて、前から後ろに向かって拭く方がいいでしょう」と助言している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/10/01 05:00)
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