膀胱炎〔ぼうこうえん〕 家庭の医学

 膀胱に起こる感染性の炎症です。頻尿、排尿痛、血尿、混濁尿などがみられます。軽度のときには、頻尿だけのこともあります。尿中には白血球や細菌がみられます。
 原因としては、排尿のがまん、性行為、免疫能の低下などが考えられています。女性に多くみられ、それは尿道が短く外部から細菌が膀胱内に侵入しやすいことが理由と思われます。
 抗菌薬を3日から1週間内服すれば、通常は軽快します。改善しない場合は、原因菌が内服している抗菌薬に耐性があること、膀胱炎を起こしやすい原因があること(たとえば、膀胱結石や膀胱憩室〈けいしつ〉など)が考えられます。抗菌薬でなかなか治らない場合は膀胱がんがあることも考えなくてはなりませんので、専門医への相談が必要です。
 予防としては、水分摂取して尿量をふやす、性行為のあとには排尿するなどがすすめられます。なお、これと類似した症状を呈し誤診されやすい病気に間質性(かんしつせい)膀胱炎があります。

(執筆・監修:東京大学大学院医学系研究科 教授〔泌尿器外科学〕 久米 春喜)
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