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発作を起こす大脳の慢性疾患、てんかんの患者は、日本で約100万人、世界では約5000万人いるとされる。子どもの病気というイメージが強いが、乳幼児期から老年期まで幅広く発症する病気だ。ただ、高齢者の場合ははっきりした症状が少ないことなどもあって、てんかんだと気づかないケースもある。朝霞台中央総合病院脳卒中・てんかんセンター長(脳神経外科統括部長)の久保田有一医師は「てんかんだと正しく診断し、適切な治療をしないと命の危険に関わる恐れもある」と言い、啓発活動に力を入れている。
◇50代から発症率上昇
52歳の男性の職業は運転手。高速道路でトレーラーを運転中に意識を失い、二十数キロも走行した後に事故を起こした。既往症や薬剤歴はなく、MRI(磁気共鳴画像装置)やホルター心電図でも異常はなかった。原因がてんかんと判明したのは、ドライブレコーダーの解析と脳波検査による。
「ドライブレコーダーで患者は目がとろんとした状態で何キロも走行していたことが分かった。脳波検査では、右の側頭部にとがった波形が認められた」
てんかんの発症率はUカーブを描く。乳幼児の頃に高く、年齢が上がるとともに低下するが、50代を境に上昇に転じる。特に80歳を超えると、発症率が高い。
高齢者が発症するてんかんには二つのパターンがある、と久保田医師は指摘する。脳卒中などの器質疾患、つまり脳に傷がつくことに伴うものと、加齢に伴うものだ。「前者は激しいけいれんなど、症状がドラスチック。一方、後者の加齢に伴うてんかんは言ってみれば『地味』で、運動症状がわずかだ。発作後、ぼっーとしている状態が長い」。その上で「発作の頻度が少ないことも後者の特徴だ」と話す。
(2017/07/25 13:46)
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