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痔(じ)は、恥ずかしさから病院に行くのをためらう人も多いが、症状を繰り返したり、治りにくかったりする場合は他の病気の恐れもある。痔への対処について、東(あずま)肛門科胃腸科クリニック(東京都渋谷区)の東光邦(あずま・みつくに)院長に聞いた。
◇男女とも多いいぼ痔
肛門内の粘膜と皮膚(肛門上皮)の境目(歯状線)に排便時のいきみ過ぎなどで血管のこぶができたのがいぼ痔。「大きくなると腫れや出血を起こし、次第に指で押し入れなければ肛門内に戻らなくなったり、歩くだけで飛び出したりすることもあります」と東院長。
歯状線にある肛門小窩(か)という複数のくぼみに便のばい菌が入り、うみがたまると、腫れと発熱が生じる。腫れが引き、うみが排出された後に直腸と皮膚の間にトンネルができるのが痔瘻だ。
切れ痔は、肛門上皮が切れてしまい、痛みや出血を引き起こす。便秘による硬い便が原因になることが最も多いが、「下痢で何度もトイレに行き、アルカリ性の腸液が肛門を頻繁に通過することで細かな傷ができて切れ痔になることもあります」と説明する。
◇がんが原因の場合も
痔の予防には、便通を整えるために食物繊維や水分を取る、適度に運動する、体を冷やさないなどの生活習慣の見直しが重要だ。痔瘻でうみがたまっているとき以外は、シャワーではなく、湯船に漬かって血行を良くすることも予防につながる。
「温水洗浄便座もお尻を温める意味では効果があります。しかし、神経質になって洗い過ぎると、皮膚のバリアー機能が失われ、皮膚炎を起こす恐れがあるので注意が必要です」
病院の受診をためらい、市販薬で治療をする人もいるが、「1週間で改善しない場合には病院を受診してください。患部の状態に応じて治療法が異なりますし、薬剤も止血や炎症を抑えるなどの特徴に違いがあります。座薬や軟こうなど、患者さんの生活に合わせて使い分けます」と東院長。
「痔だと思っていたら大腸がんだったという患者さんもいます。痔が治りにくい、何度も繰り返すといった場合は、日本大腸肛門病学会のホームページなどで近くの専門医を探して受診してください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/01/26 12:44)
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