特集

粒子線注目も、治療費ネック
がん新治療法、外国勢猛追

兵庫県立粒子線医療センター(施設全体)(提供写真)

 がんの新治療法「粒子線治療」の拠点として、兵庫県立粒子線医療センター(同県たつの市)付属の神戸陽子線センター(神戸市)が2017年12月に開設された。外科手術や抗がん剤投与に代わる治療法として近年注目されているが、一部のがんは健康保険の適用外。高額治療費が普及へのネックとなっている状況は変わっていない。米国や中国などで粒子線治療施設の建設が進む中、「保険適用を拡大し、多くの国内患者が治療を受けられるようにするとともに、海外にも技術輸出を進めるべきだ」との声が上がる。

 ◇世界初の重粒子・陽子線治療施設

 兵庫県立粒子線医療センターは、県が280億円を投じ、01年4月にがん治療専門病院として開院。重粒子線と陽子線両方の治療ができる世界初の施設で、症例数8000を超える実績がある。

神戸陽子線センター(提供写真)

 神戸陽子線センターは、神戸市中心の三宮駅に近いポートアイランドに新たに開設された。県立センターと違い陽子線治療のみだが、小児がん拠点病院でもある兵庫県立こども病院と隣接しており、治療の相乗効果を狙う。
 がんの治療法は主に、(1)手術療法(2)投薬などの化学療法(3)放射線療法─の三つに分類される。このうち放射線療法は、X線など質量が限りなくゼロに近い光子線が用いられてきたが、近年は質量を持つ「重粒子線」「陽子線」を用いた粒子線治療が注目。「前立腺がん」「肝がん」「膵臓(すいぞう)がん」「骨軟部腫瘍」などが治療対象となる。

新着トピックス