特集

粒子線注目も、治療費ネック
がん新治療法、外国勢猛追

 ◇先駆者としてリードを守れるか

 世界に先駆けて粒子線治療を進めてきた日本だが、特に陽子線治療の分野で治療効果が世界的に認められ、設備の低価格化、コンパクト化が進む中で外国勢に猛追されている。
 粒子線治療世界会議(PTCOG)のホームページによると、稼働中の陽子線治療施設は世界で77カ所。日本は12カ所、米国は27カ所、中国は2カ所だ。また、陽子線治療施設の建設に着手しているのは世界に27カ所あり、米国が8カ所、中国は6カ所、日本は5カ所。特に中国では近年、投資対象として先端医療技術への関心が高まっており、多くの建設計画が持ち上がっているという。

重粒子線治療設備(兵庫県立粒子線医療センター)
 一方、重粒子線については、世界で11カ所が稼働しており、そのうち5カ所が日本にある。放射線医学総合研究所(放医研)が1994年に世界に先駆けて治療を開始し、それ以来優位に立ってきた。放医研の担当者は「海外勢が追い上げてきても施設建設などの初期コストが高いため、日本が優位を維持できる可能性が大きい」と話す。
 重粒子線は陽子線に比べ、がんへの攻撃力が強いためポテンシャルは優れているとした上で、治療の費用対効果についても「国内で治療が広まれば、設備が改良され全体のコストは下がる。治療機器メーカーの実績も高まり、技術輸出でも強みが出る」と期待している。(了)


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