治療・予防 2024/12/23 05:00
薬物療法が大きく進歩
~ぼうこうなどの尿路上皮がん(虎の門病院 三浦裕司部長)~
脈拍(心臓の拍動)が乱れる症状を「不整脈」と呼ぶ。不整脈は死ぬ危険性とすぐ結び付けられがちだが、9割は致死的なものではない。とはいえ油断は禁物。心臓血管研究所(東京都港区)の山下武志所長は「高齢になるほど、高血圧や糖尿病、動脈硬化といった生活習慣病のある人ほど、命の危険につながる不整脈が起こりやすくなります」と警告する。
▽最も危険な心室細動
心臓は、血液を送り出すポンプの役割を果たす「心室」と、その上にあって心室に送り込む血液量を調節する「心房」との左右1組ずつで構成される。これらが規則的な収縮と拡張を繰り返し、血液を全身に供給する。
不整脈の中で最も危険なのが「心室細動」で、「致死性不整脈」とも呼ばれる。心室が小刻みにけいれんするだけで規則的な収縮がなくなり、血液を送り出せなくなる。放置すると脳が虚血状態となって意識を失い、死に至りかねない。心室細動の人を見つけたらすぐさま自動体外式除細動器(AED)で心室細動を止め、規則的な収縮運動を取り戻す必要がある。
ただ、心室細動は誰にでも起こり得るわけではない。山下所長は「心臓に持病がある人や遺伝的に心臓に異常を抱えた人に限られます」と話す。
▽血圧把握が重要
危険な不整脈の大半を占めるのが「心房細動」だ。心房がけいれんするだけで血液が心室に送り込まれず、そのうち心臓内の血液がよどみ始め、どんどん固まっていく。「この血液の塊である血栓が血管に流れ出し、脳の血管内で詰まると脳梗塞を引き起こします。脳梗塞の中でも心房細動を原因とするものは死亡率が高いとされています」と山下所長は解説する。
この心房細動の発症率は60歳代が1~2%、70歳代が5%前後、80歳代が10%前後と、歳を重ねるにつれ起こりやすくなる。また、生活習慣病が重くなるほど、患者の不整脈が致死的なものでなくても、危険な不整脈に移行してしまう可能性も高まるという。
しかも、山下所長によれば「心房細動の約半数が無症状で不整脈になかなか気付けない」ので非常にやっかいだ。
不整脈を見つけるには定期的に家庭用血圧計で脈拍数や脈の乱れを把握しておくことが大切だ。脈拍が早くなったり、遅くなったり、飛んだりするのが一つのサインとなる。山下所長は「年に2~3回は脈拍の測定や、心電図を取るなどして、異常を感じたら早めに診察を受けてください」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/08/28 09:50)
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