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◇「在宅家庭医療学」開設へ
新たな取り組みが始まっている。「在宅家庭医療学」の開設だ。医療体制があまり十分ではない地域で、在宅医療を担う人材を育て、その地域に貢献できるようにする。豊田市の山間部に位置する足助地区で、地元の愛知県厚生農業協同組合連合会足助病院をベースにして医学生の実習を行う計画を進めている。
家庭医療を担当する医師が医学生を連れて在宅の患者を回る。「患者の活動性はどうか、栄養状態はどうか、認知症の程度はどうか、虚弱(フレイル)の程度はどうかなどを評価する」。看護師や薬剤師、理学療法士らの協力も不可欠で、診療看護師(NP)の養成も担う同大学にとって、実践力を身に付ける教育環境が整うこととなる。
◇モデルケースつくる
学生たちは「現場では何が必要なのか」を自ら考え、週末には大学でケースカンファレンスに臨む。佐藤学長は実習のもう一つの意義について「今の医療、介護制度で利用できるものは何か。そういった制度的なものも理解させなければならない。学生時代にそういう教育をすることで、人材が育っていくきっかけになる」と語る。
足助地区をフィールドにした試みは、早ければ2018年度中にも開始のめどが立つ見込みだ。佐藤学長は「教員が教育を兼ねて活動することで足助地区の在宅患者を支え、将来を支える人材が生まれていくことに価値がある」と述べた上で、「うまくいけば、モデルケースになる。全国の大学で展開していけば、医療施設が十分ではない地方を支えることができる」と力を込める。
◇ドクターヘリへの熱意
愛知医科大学のモットーは、挑戦する姿勢にあるのだろうか。02年1月、同大学病院は全国で4番目に、ドクターヘリの事業をスタートさせた。
ヘリ導入の推進役は、当時の救命救急科教授(現同大名誉教授)の野口宏氏。「ヘリを導入することは将来、わが大学にとって大いなる名誉となる。万難を排して実現しなければならない」。当時、整形外科の教授だった佐藤学長は野口氏の熱い言葉を覚えている。「彼の熱意、先を見る能力が実ったのだと思う。結果的に私たちの病院は、緊急的にさまざまな事態に対応できる機能を備えることになった」と、高く評価する。
(2018/10/24 06:00)
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