一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

(第7回)
米国で恩師と出会う
世界一の技に感動、猛練習

 ◇逆風にも「つらい時こそ前へ」

 練習の成果は、すぐに手術時間に反映された。1例目の手術は9時間かかっていたが、1年後に行った2例目では4時間と半分以下に短縮できた。

 減量手術の希望者は最初に手術を受けたブラジル人女性の紹介が多かった。その後、減量手術のホームページを立ち上げると、日本人も手術を受けに来るようになった。

 しかし、日本ではまだ医師の間でも減量手術のことはあまり知られていなかった。日本の学会でコンセンサスが得られていないことを、大学の医局に属さない地方の民間病院の医師が始めたということが問題視され、笠間氏は逆風にさらされる。そんな笠間氏を支えたのは、亀田総合病院時代に入門した極真空手で体得した武道の精神。今も外科医としての根本に、この心構えがあるという。

亀田総合病院時代に入門した極真空手の仲間たちと。左から4人目が笠間和典氏

 「決して順風満帆ではありませんでした。でも、極真空手の精神で、つらい時こそ前に出る、というのがあるんです。科学的に正しいことをやっているという確信はありましたから、やめるわけにはいきませんでした」 (ジャーナリスト・中山あゆみ)

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