一流に学ぶ 減量手術のパイオニア―笠間和典医師

(第6回)
日本初の手術、9時間がかりで成功
ブラジル再訪で学んだ技術

 笠間和典氏が日本で初めて、腹腔鏡下胃バイパス術による減量手術を行ったのは、依頼人のブラジル人女性と初めて会った翌年の2002年、36歳の時だ。

 女性の体重は130キロ。内臓脂肪をかき分けながら行う難手術は9時間に及んだ。「僕自身、ここまで太った人の手術はやったことがない。今でもほとんどの日本人医師が体重130キロの人の手術なんてやったことがないと思います」

術後、1カ月でその女性の体重は10キロ減り、約1年半かけて半分に。現在に至るまで65キロ前後の体重を維持している。

  ブラジル人医師と相談し、入念な準備を重ねた初の減量手術は成功し、患者の満足度も高かった。笠間氏はさらに手術の技術を学び、本格的に取り組もうとの思いを強め、思い切ってブラジルを再訪することにした。

「患者さんはすごく喜んでくれましたが、やっぱり9時間かかったのは僕としてはショックでした。正直、自分は手術がうまいと思っていたんです。どんな腹腔鏡手術でもできるし、手術で大きな苦労したこともありませんでした。太っている人の手術はすごく大変で、これは技術的に追究しなきゃいけないと思いました」

当時は堀江病院の外科部長、救急室長、麻酔科指導医を兼任していた。「超忙しかったんですよ。正月休みも夏休みも全部返上するからと周りに頭を下げて、何とか2週間の時間をつくりました」

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