一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督

(第9回)古巣ホークス復帰
王監督への思いとライバル松中

 小久保さんが野球人として一番影響を受けたのは王さんだろう。もう一人忘れられないのが、チームメートだった松中信彦さんの存在だ。現役時代に選手として伸びることができたのは「彼のおかげだ。正直に言って、こいつには負けたくないと思った」と言う。

春季キャンプでの小久保さん(右)と松中さん
 「選手が伸びていく過程で、ライバルがいるということは大事です。練習の時でも、そういう存在がいなければ、ほとんどの選手はもうこのくらいでいいかということになるでしょう。でも、ライバルがいれば、『あいつ、まだやっているのか。自分も、もう一踏ん張りしよう』という活力になります」

 松中さんは2歳年下で、後に二人は名字の頭文字を取って「MK砲」と呼ばれた。ホームランを量産し、小久保さんと共にホークスをけん引した松中さん。二人は練習の虫で、キャンプでは互いに意識し合い、日が暮れるまでバットを振り続ける日が続いた。

 「二人も日が暮れるまでやめないのです。それが、キャンプの名物になりました。人には『別に意識していないよ』と格好を付けていましたが、実は意識しまくりでした」

 小久保さんは続ける。「チームの中で主力となり名を残した人を思い浮かべてみると、西武ライオンズの秋山幸二さんと清原和博さん、ヤクルトスワローズの池山隆寛さんと広澤克実さん、もちろん王さんと長嶋茂雄さんもそうで、皆さんライバルがいました」。同じ打線に名を連ねて二人で競い合っているという関係は、自身も強くなるし、チームも強くなる。「『両雄並び立たず(史記)』ではなく、『両雄並び立つ』になるのです」(ジャーナリスト/横井弘海)

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一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督