一流の流儀 「信念のリーダー」小久保 裕紀WBC2017侍ジャパン代表監督
(第9回)古巣ホークス復帰
王監督への思いとライバル松中
絶えず前を向いて全力を尽くす小久保裕紀さん。ジャアンツでの3年間はどうだったのか、振り返ってもらった。
「ジャイアンツという球団は、長い栄光の歴史を誇っています。実は、僕はちょっとお邪魔させていただいているだけ、という感覚でいました」。本音をさらっと語るのが小久保さんらしい。ところが、3年目の2006年に原辰徳さんが監督に就任し、小久保さんをキャプテンに指名した。重責だったが、小久保さんは受けた。その時からは、「外様でお邪魔させていただいている。そんな思いでは失礼だなと思い、どっぷりジャイアンツに骨をうずめる覚悟を決めました」
「尊敬する王さんとまた一緒に野球ができたら」という思いが頭をよぎったと言う。小久保さんは、同年のオフにFA権を行使する考えを示し、正式にFA権を申請した。交渉解禁直後の11月9日、王監督は胃の全摘出手術後の体で会いに来てくれた。
「王さんは大病を患い、痩せ細っていました。僕は、翌年はどうなるかは分からないように思いました。でも、王さんは『どんな状態でも来年は監督を受ける。そこに小久保がいなければ…』と言ってくれました」
小久保さんは王監督への熱い思いを胸に、古巣への復帰を決意した。2008年に王さんが勇退する年まで、王監督の胴上げはかなわなかったが、10年にリーグ優勝を果たし、11年には日本一に輝いた。小久保さんも日本シリーズのMVPを獲得し、球団会長となっていた王さんに報いた。
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(2018/09/18 10:00)