女性アスリート健康支援委員会 「食」の要注意サイン、ありませんか

「糖質抜き」はダメ、イメージに振り回されないで
栄養学の専門家が明かすスポーツ女子の心配な食行動

 女子中高生のスポーツ選手の皆さん、食事の栄養素バランスに気を付けていますか。「おいしい!」と感じて、しっかりと食べていますか。

 きちんとした食事は成長期に楽しくスポーツを続け、強くなっていくための基本。ところが、「食」に関する誤ったイメージに振り回され、栄養素のバランスが悪くなったり、エネルギー摂取量が足りなくなったりする選手が珍しくありません。

  「糖質をとらない女性アスリートが多いのが特に心配」と話す小清水孝子先生
 「ご飯などの主食抜きの食事にして糖質(炭水化物)をとらない女性アスリートが多いのが特に心配」と話すのは、大妻女子大学教授で栄養学を教え、公認スポーツ栄養士の資格も持つ小清水孝子先生。心身の不調につながりかねない食行動の乱れの実例を挙げました。

 ◇「基本的な食事の形」がある

 私たちが生命を維持し、日々活動するためには、食事からエネルギー消費量に見合ったエネルギーと栄養素をとることが必要です。

 栄養素をバランスよくとるためには、①主食(主に炭水化物の源:ご飯やパン、麺類など)②主菜(主にたんぱく質の源:肉、魚、卵、大豆製品など)③副菜(主にビタミンやミネラルの源:野菜、芋、キノコ、海藻など)④牛乳・乳製品(主にカルシウムやたんぱく質の源:牛乳、ヨーグルト、チーズなど)⑤果物(主にビタミンや炭水化物の源)―の五つを毎食、食卓にそろえるよう心がけることが大切です。

 炭水化物は、運動するときの主なエネルギー源。スポーツをがんばっているのに、「糖質をとると太るから食べない/控える」と考えるのは誤りです。

 女性アスリート健康支援委員会のカラダテキストブック「スポーツ女子をささえる人に知ってほしいこと」より
  

 ところが、最近の女性アスリートの中に、とにかく主食のごはんなどをいやがる人が目立つと、小清水先生は感じています。主菜の肉や副菜の野菜などは食べても、ごはんを抜いたり、少ししか食べなかったりする傾向があるというのです。

 例えば、食事で出たごはんをおじやにして、食べるごはん粒の量を少なくした人もいたそうです。そんな具合だと、炭水化物の摂取量が足りなくなってしまいます。

 「『ゼロキロカロリー』『エネルギー控えめ』とうたう食品を探し、『ご飯は食べない』という人がいたら、その食行動は要注意」と小清水先生。「糖質をそんなに抜くと、体重は減っても、筋肉量も減るリスクになりますよ、と選手に話すと、驚かれます」と話します。


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