「医」の最前線 新専門医制度について考える

長寿とともに増え続ける目の病気
~中高年からの眼科医との付き合い方~ 第12回


 ◇人手不足の問題

 眼科医の数は医師全体の4%、医療費も全体の4%ぐらいを占めています。全体の医師数は他の科に比べて特に余っているとか、不足しているという状況ではありません。ただ、地域による偏在はあり、東北を中心とした地域が特に少ない傾向にあります。一方で、東京や大阪のような大都市は少し医師過剰になってきている傾向があります。

 また、眼科は他の科と比較しても、大学病院や市中病院を離れてクリニックを開業する医師が多いという特徴があります。特に昨今、男性は開業を目指す医師が増加傾向にあり、逆に勤務医は減少しています。また、女性医師の比率が4割、若い年代だと半数と、皮膚科、麻酔科に続いて女性が多い診療科でもあります。女性医師の場合は逆に勤務医が多く、勤務が長時間になる大学病院や市中病院よりもクリニックでの勤務を選ぶ傾向にあります。

 地方はもちろん、大都市であっても大学病院や市中病院の勤務医は人手不足が深刻になっているのが現状です。女性医師が担う役割は大きく、学会でも女性が要職に就いてもらえるように積極的に働き掛けをしています。働き方改革をきっかけに労働環境や勤務条件の見直しも視野に入れ、改善を図っているところではあります。

 ◇患者さんに喜んでいただける機会が多い

 眼科には主に研究や教育を推進する眼科学会と、主に一般の診療やクリニックの問題などを扱う眼科医会という二つの会があり、ほとんどの眼科医はこの二つの会に属しています。多様な働き方をしている医師たちが、患者さんに最良の治療を届けることを目的とし、この二つの組織がうまく一つにまとまっているというのが眼科の強みでもあります。

 眼科の診療はチームで行うことも多いですが、他科と比較すると1人で行う治療が多い傾向があるので、自分のペースでコツコツ地道に積み重ねていくタイプの医師が多いです。眼科は治療によって良くなる病気が多く、患者さん自身の自覚症状が改善され喜んでいただける機会が多いので、医師にとって大きなやりがいにつながります。眼科の治療には外科的な要素と内科的な要素がありますので、自分のライフスタイルや得意分野に合わせて専門を決められるというのも特徴です。

 ◇自覚症状がなく、気づいた時には進行していることも

 目の病気は片目に異常があっても反対の目で見えてしまうので、自覚症状がすぐに現れず、気づいた時にはかなり進行した状態になっていることも少なくありません。軽い症状であっても、その裏に重篤な病気が隠れている可能性があります。目に異常を感じたり、目がかすんだりなど、少しでも心配なことがあったら、まずは近くのクリニックに相談してください。また、早期発見、早期治療のために自覚症状がなくても1年に1〜2回は定期検診を行うことをお勧めします。(了)

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