気道の異物除去法

 市民による異物除去の方法としては、ハイムリック法(腹部突き上げ法)と背部叩打(こうだ)法があります。
 ハイムリック法は、うしろから傷病者の身体を抱えるように腕を上腹部近くに回し、片手で握りこぶしをつくり、みぞおちにあてます。もう一方の手で、握りこぶしの手を握り、すばやく内上方向に向かって圧迫するように押し上げます。
 背部叩打法は、傷病者の頭をなるべく下げ、後方から手のひらの基部で左右の肩甲骨の真ん中あたりを強く、連続して押します。
 原則として、ハイムリック法を優先しますが、傷病者の体型や姿勢など、状況で判断します。妊婦および乳児では、ハイムリック法はおこなわず、背部叩打法のみをおこないます。ハイムリック法は腹部の内臓をいためることもあるので、異物を除去しても医師の診断をうけましょう。救急隊員が駆けつけたときには、その旨を伝えます。
 成人での気道閉塞状態は、肉や餅などの食べ物が詰まって起こります。食事中に、突然しゃべらなくなったり、のどに両手をあてる窒息時のサインをするときは気道異物による窒息を疑い、異物除去をします。
 妊婦および乳児では、ハイムリック法はおこなわず、背部叩打法のみをおこないます。異物が取れるか、反応がなくなるまで続けます。

■食事中の窒息を予防するには、次のことを心掛けましょう。
 1.義歯の場合は、特に食物をこまかく切り、ゆっくり入念にかむ。
 2.かんだり飲み込んだりする際には、笑ったり話したりするのを避ける。
 3.過度の飲酒を避ける。

(執筆・監修:医療法人財団健和会 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問 箕輪 良行)

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