三尖弁疾患〔さんせんべんしっかん〕

 右側にある右心房と右心室の間にあるのが三尖弁で、その名のとおり3つの扉からなっています。なんらかの原因で右心房や右心室が大きくなってしまうと、そのためにすきまがあいて閉じることができなくなり、三尖弁閉鎖不全症となることがあります。
 また、肺の異常により右心室から肺へ向かう肺動脈の中の圧が高くなってしまって、逆流の原因となることもあります。症状としては、肝臓がはれてくるのでおなかがはる感じになったり、足のむくみがひどくなったりします。
 肺動脈の圧が高い場合には、その原因の診断と治療が中心となりますが、右心房や右心室が拡大し、三尖弁の逆流が悪循環となっている場合には、形成術や弁置換術を必要とする場合があります。三尖弁閉鎖不全症だけで手術を必要とする場合は少なく、ほかの弁膜症の手術といっしょにおこなわれることが多いのですが、専門の医師の指示に従う必要があります。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団 附属 榊原記念病院 副院長/榊原記念クリニック 院長 井口 信雄
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