大動脈弁疾患〔だいどうみゃくべんしっかん〕

 心臓から全身に向かって血液を送り出すもっとも太い血管が大動脈ですが、心臓からの出口にある扉を大動脈弁といいます。
■大動脈弁狭窄症
 大動脈弁は通常3枚でできていますが、動脈硬化などによりかたくなって癒着し、開きにくくなる病気が大動脈弁狭窄症です。症状は重症になるまで出にくく、症状が出始めると動いたときの胸痛や失神発作などがみられますが、その時点での生命予後(生命が維持できるかどうかの予測)は2~5年といわれています。心臓超音波検査(心エコー検査)では、大動脈弁がかたく開きにくくなっているようすがよくわかり、開いたときの弁口の面積を実測して診断します。また狭いところを通る血液は速度が速くなるため、この速度をはかって重症度を推測したりします。
 また、生まれつき2枚の扉からなる二尖弁(にせんべん)という病気がありますが、大動脈弁狭窄症をきたしやすく、大動脈の付け根も拡張して太くなりやすいといわれています。大動脈二尖弁は進行しやすいといわれており、通常の狭窄症よりも早めに治療がおこなわれる傾向があります。
■大動脈弁閉鎖不全症
 大動脈弁がうまく閉じることができず、逆流してしまうのが大動脈弁閉鎖不全症です。弁の構造がもろくなって左心室側に落ち込んだり、大動脈自体が太くなってしまって扉と扉にすきまができてしまうなど、原因はいくつかあります。心エコー検査では、ドップラーエコーといって、逆流している血液をカラーで映し出すことも可能であり、診断がつけやすくなりました。

[症状][経過]
 大動脈弁狭窄症も閉鎖不全症もリウマチ性のものは減少しています。しばしばみられる自覚症状は、からだを動かしたあとの息切れなどですが、大動脈弁狭窄症が重症になると、狭心症と似たような胸の痛みを感じたり、突然意識を失うようなこと(失神)が起こる場合があります。健診でのX線検査で心臓が大きくなってきているなどの指摘があった場合には注意が必要です。特に大動脈弁閉鎖不全症で逆流量が多くなると心臓は拡大し、さらに心臓の筋肉(心筋)が傷んでくると、本来の収縮する動きが低下したり、危険な不整脈(心室頻拍〈ひんぱく〉など)が出てくることがあります。この状態が出始めると手術を受けても回復しないことがあるため、適切な手術時期を逃さないようにしなければなりません。
 また、大動脈弁閉鎖不全症が重症になった場合、拡張期の血圧(下の血圧)が極端に低くなり、40mmHg台となることもあるのが特徴です。
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