膵神経内分泌腫瘍〔すいしんけいないぶんぴつしゅよう〕

 膵臓のホルモンを出す細胞(内分泌細胞)や神経内分泌細胞といわれる細胞から出た腫瘍を膵神経内分泌腫瘍と呼びます。大きく分けてインスリン、ガストリンなどの膵ホルモンを産生する腫瘍を機能性腫瘍、産生しない腫瘍を非機能性腫瘍に分類します。
 
[症状]
 膵ホルモンを出す腫瘍(機能性腫瘍)は、そのホルモンの作用が強く出ます。頻度が高いのはインスリンを出す腫瘍(インスリノーマ)で、低血糖の症状が特徴的です。その他、ガストリンを出す腫瘍(ガストリノーマ)では消化性潰瘍がみられることが多く、症状が強く出る腫瘍では良性の腫瘍の割合が高くなります。
 ホルモンを出さない腫瘍(非機能性腫瘍)では、特別な症状がありません。腫瘍が大きくなると膵がんと同様に黄疸(おうだん)や腹痛、消化管の通過障害などがみられることがあります。

[診断]
 機能性腫瘍では、血液中の膵ホルモン値が高くなることで診断がつくことが多く、小さなインスリノーマなどでは、腹部の動脈と静脈に管を入れて、膵臓に近い部分の血液を採って、ホルモン値を測定する検査がおこなわれることがあります。
 腫瘍がどこに存在するか、腫瘍の大きさやひろがりの評価は、膵がんと同様の画像検査がおこなわれます。

[治療]
 小さな非機能性腫瘍を除き、手術で摘出することをまず考えます。手術の術式は、膵がんとほぼ同様です。手術で腫瘍を摘出できないときは、抗がん薬治療、ホルモン療法、放射線治療などが、腫瘍縮小や症状緩和を目的におこなわれます。

(執筆・監修:自治医科大学外科学講座 主任教授〔消化器外科学〕 佐田 尚宏

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