膵がん〔すいがん〕

 膵臓の頭部にも、体尾部にもがんができますが、多いのは頭部です。膵臓自身からできることと、胃がんが膵臓までひろがったときもありますが、ここでは膵臓自身から起こってきた場合について述べます。

[原因]
 ほかの臓器のがんと同じように、原因はよくわかっていません。喫煙、飲酒、肉食などが関係ありそうだといわれています。

[症状]
 中年以上の人に多くみられます。はじめ上腹部に不快な感じがあり、慢性胃炎ぐらいに考えたり、慢性膵炎の消化不良のような症状が出たと思っているうちに、みぞおち、あるいは右の上腹部に痛みがあらわれてきます。多くは胆石症のような激しい痛みではありません。
 膵頭部にがんができた場合には黄疸(おうだん)が出てきます。黄疸ははじめのころは強くなったり、弱くなったりしますが、たいていは強くなるいっぽうです。黄疸がではじめて痛みが強くなく、その後だんだん痛みが強くなっていくようなら、この病気の疑いがあり、ぜひCT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)検査をおこなって調べてもらわなければなりません。こうした痛みは主膵管や総胆管の閉塞によって起こると考えられます。膵体尾部にがんができた場合には黄疸があらわれないので、発見がおそくなることがあります。がんが十二指腸を閉塞した場合には食べた物を吐くようになります。
 体重が減ってくることも重要な症状です。1カ月に2kg以上やせてきます。病状が進んでくると、胆嚢(たんのう)がはれ、右の上腹部にこぶを触れるようになります。食欲がなくなり、だんだんやせ、また背中に強い痛みをうったえるようになり、不幸な結果になります。

[診断]
 血清中の腫瘍マーカーであるCA19-9やCEA、SPan-1、DUPAN2、エラスターゼ1などをはかります。超音波(エコー)検査、CT検査やMRCP(MRIによる胆管膵管造影)をおこなって胆管や膵管の状態を診察します。十二指腸を内視鏡で見たり、超音波内視鏡(EUS)、さらに膵管に造影剤を入れてX線写真を撮る内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)をおこないます。このときに膵液を集めてがん細胞を見つけたり、このなかの腫瘍マーカーや遺伝子の異常を見つけることによって診断します。ERCPは膵炎を起こすことがあるので、しだいにからだへの負担が少ないMRCPに置き換わってきました。
 以前は膵臓がんの診断はたいへんむずかしかったのですが、CTやMRCPの出現によって合併症がほとんどない安全な胆管や膵管の画像から、容易に膵全体の診断が一般医にもできるようになりました。

[治療]
 手術による広範囲な切除が第一選択となります。なるべく早く、膵切除の上手な医師にみてもらい、手術をしてもらいましょう。ただし、膵がんは進行が早く、膵臓周囲には温存すべき重要な臓器があるため、手術のみでは完全に切除できない場合もあり、術中放射線照射を組み合わせたり、術後にゲムシタビンとシスプラチン(抗がん薬)を用いる集学的治療が試みられています。
 黄疸が強いときは、経皮経肝胆管ドレナージ(胆汁を胆管から体外や消化管内に出す方法)という処置をおこなって、黄疸を軽くしてから切除手術をします。病巣がとれないときは、胆汁の流れる道だけをつくります。
 十二指腸が圧迫されるようになれば、食べ物が通るように、バイパス手術をおこなうこともあります。
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