膵がん〔すいがん〕

 膵がんの頻度は着実に増えています。がんの部位別死亡数では全体で4番目、2016年に女性で胃がんを抜いて3番目になり、2018年に男性で肝がんを抜いて4番目になりました。毎年3万人以上の人が膵がんで亡くなっています。以前は治療成績がきわめてわるかったのですが、最近は抗がん薬治療の進歩などもあり、手術で切除できたなかの約3分の1の人が5年以上生存しています。
 膵がんは腫瘍ができる場所によって膵頭部がんと膵体尾部がんに大きく分けられます。60歳以上に多く、男性にやや多くみられます。膵がんの80%以上は膵管から生じるがん(浸潤性膵管がん)で、膵臓の消化液をつくる細胞(腺房細胞)から出る膵腺房細胞がん、ホルモンをつくる細胞(内分泌細胞)から出る膵神経内分泌腫瘍など、特殊ながん(腫瘍)もあります。膵がんにかかりやすい病気として、糖尿病、慢性膵炎などがあり、喫煙、飲酒、肥満などがリスクファクターとしてあげられています。

[症状]
 小さな膵がんの大多数は無症状ですが、急性膵炎を起こしたり、糖尿病がわるくなったりすることがきっかけで小さな膵がんが見つかることがあります。膵がんが進行すると、膵頭部がんの場合は黄疸(おうだん)、腹痛が、膵体尾部がんの場合は腹痛、背部痛が頻度の高い症状です。

[診断]
 膵がんの診断で重要なことは、できるだけ早期に見つけることです。軽度な腹痛や腹部の不快感、アミラーゼや胆道系酵素と呼ばれる血液検査の値に異常があれば、積極的に腹部超音波検査などで、膵臓の様子を観察することが推奨されます。腫瘍マーカーと呼ばれる検査のなかでは、CA19-9の値が早期でも高くなることがあります。
 膵臓の異常が疑われたときには、まず超音波検査やCT検査をおこない、膵がんの疑いがあれば、超音波内視鏡検査、ERCP検査、MRI検査などで精査をおこない、周辺のリンパ節や血管へのひろがりかた、肝臓などに転移があるかをよく調べて、治療方針をたてます。

[治療]
 以前は手術以外に効果的な治療がありませんでしたが、最近は抗がん薬治療が進歩して、まず抗がん薬治療(放射線治療を組み合わせることもあります)をおこなってから手術を検討することが多くなりました。手術をおこなったあとも抗がん薬治療をおこなうことが一般的です。
 手術でがんを摘出できないときは、抗がん薬治療を継続することになります。その際に、黄疸や消化管が狭くなったときには、内視鏡を用いてプラスチックチューブやメタリックステントを入れる治療や、胆管と小腸をつなぐ手術、胃と小腸をつなぐ手術などがおこなわれることがあります。

(執筆・監修:自治医科大学附属病院 病院長/自治医科大学外科学講座 教授〔消化器外科学〕 佐田 尚宏
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