膵嚢胞・膵嚢胞性腫瘍〔すいのうほう・すいのうほうせいしゅよう〕

 膵臓の内部に存在する液体が貯留している袋状の構造を膵嚢胞と呼びます。膵嚢胞は、仮性嚢胞、真性嚢胞、腫瘍性嚢胞に分類され、それぞれ治療方針が異なります。仮性嚢胞は、急性膵炎慢性膵炎の急性増悪、膵外傷などにより、膵液が膵臓の外に出て袋状にたまった状態を指します。真性嚢胞は、先天性もしくは後天性の良性腫瘍で、診断が確実であれば、経過観察することが可能です。腫瘍性嚢胞には、IPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)、膵MCN(膵粘液性嚢胞性腫瘍)などがあり、良性の腫瘍のこともありますが、悪性腫瘍となってほかの臓器に浸潤したり、転移を起こしたりするものもあります。

[診断]
 超音波検査やCT検査で膵嚢胞が確認されたら、どのような嚢胞かの診断を進めます。この際、超音波内視鏡検査が有用です。

[治療]
 小さな仮性嚢胞は、吸収されて自然に消失することがあります。大きな仮性嚢胞は、最近は内視鏡を用いて、胃と交通させる治療がまずおこなわれることが多くなりました。腹腔鏡手術や外科手術がおこなわれることもあります。真性嚢胞は、良性の腫瘍ですので、診断が確実であれば経過観察することができますが、多くの場合ほかの腫瘍性嚢胞などとの区別が難しく、切除して初めて診断がつくことも多く経験されます。腫瘍性嚢胞の多くは手術で切除する対象になります。種類によっては、良性の可能性がきわめて高いものもあり、具体的な治療方針は個別に考えることになります。

(執筆・監修:自治医科大学附属病院 病院長/自治医科大学外科学講座 教授〔消化器外科学〕 佐田 尚宏