化学熱傷(薬品によるやけど)〔かがくねっしょう〕

 酸、アルカリ、金属塩、有機溶媒などが、皮膚に触れたために起こるやけどです。
 職場で起こることが多いのですが、家庭では消毒剤、漂白剤、さび落とし、トイレ洗浄剤などの誤用で起こることもあります。そのため、これらの品は子どもの手の届かない場所に置くなどの配慮が必要です。

■酸によるもの
 酸によるやけどは、通常浅いものです。発赤(ほっせき)やびらんを伴い、薬品の種類によっては緑黒色や暗褐色(硫酸)、黄褐色(硝酸、塩酸)、白色(フェノール)を呈します。
 治療はまず、早急に大量の水で洗い流します。工業用、実験用のものですと、かなり強い酸ですので、最低30分は洗い流すようにします。家庭用のですと、成分が弱いのであまり問題にはなりませんが、かぶれたりもしますので、水で十分に洗い流します。
 その後は、やけどと同じ治療をします。

■アルカリによるもの
 酸にくらべると、重症になりやすいといわれています。アルカリによるやけどは深く、蒼白(そうはく)でなめし皮のようになり、かなりの激痛を伴います。
 これは、アルカリにより脂肪の酸化やたんぱく溶解をきたし、皮膚の深部まで入り込むためです。
 治療は、酸と同様、大量の水で洗い流すことが大切です。その後はやけどの処置に準じた治療をおこないます。
 いずれにしても、酸やアルカリによるやけどは、通常のやけどとは異なり、重症度がわかりにくいので、水で十分に洗い流したあと、医師に診てもらい、適切な処置を受けることが大切です。

【参照】応急手当て:化学熱傷(薬品によるやけど)の手当て

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