心肺蘇生法(乳児―小児) 家庭の医学

解説
 市民が子どもにおこなう救急蘇生法は、小児1次救命処置の講習を受けていることが望ましいです。その際、1歳から思春期以前(目安としてはおよそ中学生まで)を「小児」とし、12カ月の1歳未満を「乳児」としています。
 成人との違いを少なくすることで、日常的に小児と接する市民が子どもにも心肺蘇生がしやすい方法がとられています。とはいえ、成人と子どもは違います。心肺蘇生法で異なるのは、次の4点です。
 1.バイスタンダー(救急現場に居合わせた人)が1人のときの心肺蘇生開始と119番通報、AEDの優先順位:子どもの場合、119番通報とAEDの手配よりも、2分程度の心肺蘇生を優先しておこないます。子どもは、気道閉鎖や呼吸障害などの低酸素状態が原因で心肺停止になるケースが多いため、低酸素状態をまっ先に改善する処置をします。
 2.胸骨圧迫の位置(乳児)、方法(乳児・小児)、深さ(乳児・小児)
 3.AED(自動体外式除細動器)の扱い
 4.乳児の人工呼吸と気道異物除去法

●心肺蘇生法
胸骨圧迫胸骨圧迫:
人工呼吸
通報タイミング
回数深さ部位手法
大人100~120回5~6cm両方の乳頭を結んだ線上のまん中手掌基部両手30:2意識がなければ、ただちに
小児
1歳~中学生
胸の厚さの1/3手掌基部両手/
手掌基部片手
5サイクルの心肺蘇生(約2分)のあと
乳児
1歳未満
両方の乳頭を結んだ線上の少し足側指2本


(執筆・監修:医療法人財団健和会 みさと健和病院 救急総合診療研修顧問 箕輪 良行)