難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの原因とされる異常なアミノ酸の合成を、「FUS」と呼ばれるたんぱく質が抑制することを、近畿大などの研究グループが解明した。同種の神経変性疾患の新たな治療法開発につながる可能性があるという。論文は18日、英科学誌「イーライフ」に掲載された。
 全身の筋肉が徐々に動かなくなるALS、脳の前頭葉や側頭葉前方が萎縮する「前頭側頭型認知症」では、遺伝子の変異によってアミノ酸が連なった異常なポリペプチドが繰り返し合成され、細胞死を引き起こすと考えられている。
 研究グループは、遺伝子操作でALSなどと似たような状態のショウジョウバエを作成。異常なポリペプチドを合成するリボ核酸(RNA)と結び付きやすいたんぱく質計18種類と結合させて、影響を調べた。
 その結果、FUSと結び付くと、異常なポリペプチドの合成が抑制され、症状の改善が確認されたという。
 研究グループの近大医学部脳神経内科・永井義隆主任教授は、FUSを活用した薬の開発や遺伝子治療などへの応用に役立つと指摘。「他の神経疾患でも治療効果が発揮できると期待している」と話している。 (C)時事通信社