東京都立病院機構と地域医療機能推進機構(JCHO)の包括連携協定締結式が、7月18日にJCHO本部(東京都)で行われた。両機構の連携・協力によって主に人材育成と情報共有を進め、医療の充実および病院運営の安定化を図る。締結式には東京都立病院機構理事長の安藤立美氏とJCHO理事長の山本修一氏らが出席し、協定書を交わした。

特定行為研修で相互協力

 東京都立病院機構は昨年(2022年)7月、旧東京都立病院と旧東京都保健医療公社の運営主体を統合し、14病院1センターで発足。東京都の行政的医療の安定化と高度専門的医療の提供および地域医療の充実を役割としている。

 JCHOは2014年4月に全国57病院で設立。地域医療および地域包括ケアの要として、地域の住民、医師会、医療機関、大学などの関係機関と連携し、地域完結型のシステム構築を進めている。

47910_photo02.jpg

 今回の包括連携は、今年度に始まった国立大学病院長会議と共同での医療材料の共同調達事業を契機に計画された。今後は医師の働き方改革を背景に、特定行為研修の相互協力を始める。JCHOでは昨年度は81人が特定行為研修を修了しており、都立病院機構は今年2月に都立墨東病院が特定行為研修機関の指定を受けたばかり。山本氏は「将来的には、各種メディカルスタッフの専門職を含めた学び合いなどの可能性を検討している」と展望した。

両機構の運営課題を共有、中長期的な連携を

 新型コロナウイルス感染症の流行を受け、医療機関は運営面での課題解決とともに地域のニーズに柔軟に対応することが求められている。持続的な医療の提供と病院運営の安定化の実現に向け、共同調達や購買情報などの共有をはじめ、人材の確保や活用、経営管理など双方の病院グループとしての運営上の課題を共有し、解決を図る。

 安藤氏は「都立病院における医療の充実と病院運営の安定化のためにあらゆるチャネルを使いたい」とコメント。山本氏は「同じ公立病院として中長期的に連携し、スケールメリットを生かした人材育成と情報共有に注力したい」と抱負を述べた。

服部美咲

変更履歴(7月20日):記事の一部を訂正しました