損害保険業界は、交通事故被害者や遺族への対応改善に向けてハンドブックを作成した。池袋暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さん(37)ら遺族の団体が、所管する金融庁などに改善を申し入れたことが契機となった。
 「関東交通犯罪遺族の会」は2022年7月、金融庁や日本損害保険協会に対し「民事裁判で、保険会社の代理人弁護士による暴言同然の言動がある」と、対応改善を求める意見書を出した。
 これを受け、損保協会は同年12月、近親者を亡くした悲しみや怒りを抱える遺族への支援(グリーフケア)などについて、研究者の監修を受けたハンドブックを作成した。事故の被害者や遺族の感情に耳を傾け、行政の支援について情報提供するなどの対応を紹介。損保会社の社内研修などで活用してもらう。
 同協会の担当者は「交渉すべき場面はあるが、保険金の支払いだけでなく被害者の心情にも配慮することで、保険があって良かったと思われるようになれば」と期待を込めた。 (C)時事通信社