【北京時事】2023年の中国の出生数が902万人と、1949年の建国後最少を更新した。30年以上続いた産児制限の影響で、出産適齢期とされる20~39歳の女性が減っていることから、出生数は今後さらに下がり、人口減が加速する可能性が高い。晩婚化や未婚化も進む中、当局や企業は出産支援の拡充など少子化対策を急ぐが、状況の打開は容易でない。
国勢調査を基に計算すると、20~39歳の女性は30年に約1億5000万人となり、20年比で約19%減る見通しだ。中国では高学歴化などを背景に初婚年齢も急上昇。中国メディアによると、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率も22年に1.09と、日本より低い。
北京市の30代の会社員女性は数年前に第1子を出産した。「北京はすべてが高い。金銭的に2人目は無理だ」と話した。報道によると、中国で子ども1人を18歳まで育てる費用は日米を大きく上回り、出産をためらう要因になっているという。
少子化の進展に対しては、習近平指導部も危機感を強めているもようだ。
国営新華社通信によると、習氏自身が23年10月末に「出産支援策をより良い内容にする」と表明。これを受け、各地方政府は補助金を使った子育て支援策などを加速させた。民間でも、旅行大手トリップドットコムグループ(携程集団)は同年6月、育児中の従業員に乳幼児1人当たり年1万元(約21万円)を支給する方針を発表した。
ただ、政府の取り組みで人口減を食い止めた成功例はまれだ。北京の医療関係者は中国の少子化対策について「あまりにも遅く、小規模だ」と指摘した。 (C)時事通信社
中国の出生数、建国後最少に=晩婚化も進展
(2024/01/17 15:20)