小林製薬は28日、大阪市内で定時株主総会を開き、紅麹(べにこうじ)を配合したサプリメントを摂取した人の健康被害が相次いでいることについて、小林章浩社長が謝罪した。問題が発覚した直後の開催となり、不満を募らせた株主から原因究明を求める声や経営責任を問う厳しい意見が相次いだが、小林社長は進退について明言を避けた。
 上場以来、20年余りにわたって小林製薬株を保有しているという60代の女性株主は取材に対し、これまで服用していた同社のサプリメントを「今は飲んでいない」と不信感をあらわにし、株の売却も考えていると明かした。
 摂取した4人が死亡する事態に至ったが、会社側が健康被害を把握してから公表まで約2カ月かかり、50代の男性株主は「もっと早く検証できなかったのか」と非難した。60代の男性株主も「国会答弁を聞いているようだった」と、総会での説明に不満を漏らした。
 出席した株主によると、総会で経営責任を問う株主の質問に対し、小林社長は原因究明と取引先への補償などを優先すると説明。「進退はその先に議論する」と言葉を濁した。業績への影響については、担当役員が「インパクトがあるとは想定していない」と回答したという。
 総会には株主84人が出席(昨年53人)。23人が質問し、所要時間は2時間を超えた。小林社長ら取締役7人の再任案など2議案は賛成多数で可決された。 (C)時事通信社