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児童生徒の自殺対策を目的としたブラウザ拡張機能「SOSフィルター」。国外普及のため、ソースコードを限定公開

特定非営利活動法人OVA
エンジニア人材が団体にいなくても導入が可能




NPO法人OVAは3月27日、児童生徒の自殺対策を目的としたブラウザ拡張機能「SOSフィルター」について、ソースコードの限定公開を開始いたしました。GitHubのプライベートリポジトリで管理しており、国内外の支援団体や民間企業を対象に提供してまいります。

■NPO法人OVAとは




NPO法人OVAは、「助けて」が受け止められる社会をつくることをビジョンに、若年層の自殺対策事業(デジタルアウトリーチ、相談支援)を自治体と協働して実施しております。

誰にも話せない生活上の悩みや困難について検索した人を、検索連動型広告を用いて支援窓口のページへ誘導することで、より早く支援情報を提供することができます。日本では、自殺総合対策大綱に「ICTも活用した若者へのアウトリーチ策の強化」が重点施策に含まれており、現在は約40の自治体・非営利活動法人がOVAと自殺対策事業を展開しています。

今回、限定公開を始めたSOSフィルターは、「GIGAスクール構想」に基づき、児童生徒に1人1台への配布が整備されている学習用端末(以下、1人1台端末)にインストールするサービスとなっています。この1人1台端末は、一般的に検索キーワードのフィルタリングが強く設定され、特定の内容は結果が表示されない場合があります。

フィルタリングを通して有害な情報に触れさせないことは自殺予防の観点からも大切ですが、「死にたい」といった感情の吐露ともいえる検索行動を制限されると、生徒は抱える悩みや感情を否定されているように感じる可能性があります。

1人台端末向けのサービスは既に他にも国内にありますが、深刻な悩みに関するキーワードで検索をすると事前の同意なく学校に自動で通知が届くものや、検索結果が出ないようにするものがあり、児童生徒が安心して利用することができません。また、その多くが有償であり、予算を確保できる教育機関しか導入できず、地域差が生じるという課題があります。

そうした課題を踏まえ開発を決めたのが、SOSフィルターとなっています。

■SOSフィルターとは





SOSフィルターはブラウザ拡張機能を活用し、子どもたちが深刻な悩みに関するワードを検索した際、相談窓口やセルフケアに関する情報をプッシュ型で届けることができます。

検索キーワードは、「自殺」「学校での人間関係(いじめ等)」「家庭での人間関係(虐待等)」「性暴力」「自傷」「精神疾患」と計6つのカテゴリーで、約5000個を設定。ブラウザは、「Google Chrome」と「Microsoft Edge」に対応しています。

子どもたちが安心して「助けて」と言えるよう、ストレスに対処しながら生きる術が身に着けられるよう、各コンテンツを通して下記の3点をサポートします。

(1)適切な支援につながるようサポート:悩みに特化した相談窓口を紹介
(2)心身の異変に気付きセルフケアを行えるようサポート:セルフケアの方法を紹介
(3)周囲の人や相談窓口に「助けて」と言えるようにサポート:相談のコツを紹介

また、無償であること、検索した生徒個人を特定したり、学校に通知が届いたりといった設計はあえて行わないようにしたことも、サービスの特徴となっています。