足の悩み、一挙解決
第19回 数分の処置で20年来の足の痛みから解放
~長い回り道の末に~ 足のクリニック表参道院長 桑原靖
写真3
治療中も治療後も痛みはないことを説明すると、「長年の痛みから解放されるなら」と同意の上、治療に取り掛かりました。
治療用の椅子に腰かけてもらい、親指の根元に近い部分から注射をして、親指へいく神経に麻酔をします。指の先端に直接、針を刺すと、とても痛いので、このような麻酔法を行います。
針を刺す部分には、冷却スプレーをかけて一瞬表面の感覚を奪うため、針を刺される痛みもありません(写真3)。
◇麻酔して爪を取る
数分で麻酔が完全に効いたのを確認し、まず浮いた爪をニッパーで切り取ります(写真4)。
爪はすでに浮いた状態なので、無理に剥がす必要もなく、出血もありません(写真の出血は麻酔注射の針穴からのものです)。
残った部分を、根元ぎりぎりのところまで、爪専用のグラインダーで丁寧に削っていきます(写真5)。
写真4 写真5
◇出血も痛みもなく
麻酔をかけるまで恐怖で顔を覆っていたAさんが、「本当に全然痛くないんですね」と落ち着きを取り戻してきました。
爪がなくなった状態です(写真6)。完全にではなく、皮膚とくっついている部分(爪が生える場所の半分くらい)だけを残し、可能な限り薄く処置しています。
両端に食い込んでいたところもなくなり、すっきりしました。1時間後に麻酔が切れることを説明して、治療を終えました。
写真6
その日の入浴も可能で、運動制限も何もありません。爪の生えていないところの肉が盛り上がってしまうと、爪が伸びる邪魔になるので、肉の部分をテープで抑えるよう指導しました。
◇ついに悩みから解放
治療がうまくいけば、半年から1年程度で薄い、きれいな爪が先端まで到達する見込みです。Aさんは、そのままストッキングとパンプスを履いて帰宅しました。
その後、Aさんの話では、家に着く頃に麻酔が切れましたが、痛みも何も感じることはなかったということです。
そして、爪が食い込む痛みから20年ぶりに解放された、と大変喜ばれました。
このように、足の痛みでつらい思いをしてきた患者さんに喜んでもらえるとき、クリニックを開業して本当に良かったなと、いつも思います。
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(2019/04/29 06:00)