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手術の難度やリスクに影響を与える因子は非常にたくさんあります。それらを全て挙げることはできませんが、今回は私が専門とする消化器外科領域で代表的な因子を二つ書いてみます。
一つ目は「肥満」です。
肥満の方のおなかの中には、やせた方よりはるかに大量の内臓脂肪があります。おなかを開くと、臓器が黄色い脂肪で覆われ、病変を確認することすら一苦労、ということもよくあります。やせた人より手術にはるかに長い時間を要することもあります。
また、脂肪の中には細かな血管が張り巡らされています。大量の内臓脂肪を切ったりかき分けたりする中で、もろい血管からたびたび細かな出血が起き、出血量が多くなるリスクがあります。
実際、肥満は数々の術後合併症(手術後に起こるさまざまな問題)のリスクとなることが分かっており、入院が長引く要因の一つでもあります。肥満の解消が手術リスクを下げる上で重要であることは、言うまでもないでしょう。
同じ手術でも個人の状態により手術時間やリスクは異なる
◇「手術の既往」
もう一つの代表的な因子に、「手術の既往」があります。「手術の既往」とは、「以前に手術を受けたことがある」という意味です。
一度手術を受けたことがある方のおなかを開くと、前回の手術で触った部分を中心に、広く「癒着」を起こしています。「癒着」とは、腸管同士がべったり張り付いたり、内臓脂肪とおなかの壁がくっついたりした状態のことです。
これが原因で、おなかを開けるだけでも一苦労、ということもあります。場合によっては、癒着を剥がすだけで1~2時間かかることもあります。
また、癒着を剥がす過程で腸管に細かな傷が付いて壁が弱くなり、術後しばらくしてから穴が開いたりするリスク(せん孔)もあります。
ある意味、皮膚の表面のけがにガーゼを貼ったままにしていると傷にガーゼがべったりくっついてしまい、剥がすと表面のかさぶたまで剥がれて痛い思いをする、という状況に似ています。手術後は、おなかの中が元どおりに治る過程で、こうした癒着はどうしても起こるのです。
癒着の程度は個人差が大きいのですが、おおむね「初めての手術」より時間がかかり、また術後合併症のリスクも高くなるのが一般的です。
もちろん、私たちはこうしたリスクを最小限にするための手だてを講じます。しかし、手術の難度やリスクについては、全く同じ病気、全く同じ手術であっても大きな個人差があるという点については、十分に理解しておいていただければ幸いです。(医師・山本健人)
(2019/06/05 06:00)
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