医学生のフィールド

熱帯医学を通じて国内外で交流深める
順天堂の医学生団体「熱帯医学研究会」

 ◇関東圏の学生ともっと交流を

 ―日本の大学の医学生とも交流していますか。

 藤川さん 琉球大学、長崎大学、熊本大学とは国内研修で毎年、互いの活動を報告し合い、交流を深めています。関東の大学間では、まだそのような交流が少ないのが現状です。

 前代表の代でようやく熱帯医学サークルがある慶応義塾大学や帝京大学と連携して、関東圏交流会を始めたところです。今年(2019年)の春の交流会には新しく東京医科歯科大学の学生も参加してくれました。

 ―熱医研はどんな人が入部していますか。他の部活にも入っている人は多いのでしょうか。

 武田さん
 武田さん 40人ほどいる部員のほとんどが他の部にも入っています。運動部のように厳しい部活ではないですし、それぞれの部活の大会の年間スケジュールを確認した上で、できるだけかぶらないように研修の日程を組みます。

 ちなみに、順天堂医学部の1年次は千葉県印西市にあるさくらキャンパスで寮生活をするので、熱医研に入部できるのは2年生以上になっています。

 藤川さん 僕は大学に入学したらスポーツがやりたいと思ってアイスホッケー部に入ったのですが、せっかく医学部に入ったから何か勉強系の活動にも参加してみたいと思っていました。熱医研は運動部との兼部ができますし、実際に海外に行って現地の患者さんと会える機会が持てるというのが入部の決め手となりましたね。

 「普段はスポーツに打ち込んで、長期休暇には熱医研の研修で海外に行く」。このスタイルを求めて入部を希望する学生が多いと思います。

 ◇今の熱帯医学の意義も考えて

 ―では最後に熱医研のアピールをお願いします。

 武田さん 熱医研の大きな魅力の一つがアットホームな雰囲気だと思います。1年を通して施設訪問や勉強会をして知見を広め、それらの集大成として国内、国外の研修に行く。その流れの中で部員同士が密に関わって活動するのが心地良く感じられます。男女比も1対1で性別や学年に関係なくみんな仲が良いです。

 藤川さん 幅広く国際交流や漢方・東洋医学をやっている大学のサークルは多いですが、熱帯医学自体がそもそも珍しいというのもありますね。

 ―今後の展望を教えてください。

 飯嶋さん 順天堂大学の学内だけの閉じた活動ではなく、関東圏交流会をはじめとした他大学との情報共有の場をもっと増やすことが部員共通の願いでもあります。

 熱帯医学に限らず、優れた医療者になるには知識をただ詰め込むような表面的な勉強だけではなく、訪れる先々の国が持つ文化的背景や患者さん個人について積極的に知って情報共有することが大切です。

 左から藤川さん、飯嶋さん、板垣さん、武田さん
 自分たちが日々の勉強会や研修などで得た学びや気付きといったものを、学内だけではなく学外の多くの人にも、もっと広めていきたいと思います。「順天堂ジャーナル」という学内誌を通して活動報告の発信を始めて、今年度で3回目になりますが、今後も続けていけたらと思っています。

 熱帯医学研究会という名目で国際協力をやっている以上、対象は熱帯医学に絞られますが、交流を熱帯国に限定する必要があるのかという課題はあります。

 「熱帯医学研究会とは何か、この時代で熱帯医学をすることの意義は何なのか。その疑問を常に胸に抱きながら活動してほしい」という創設メンバーの小川秀興先生(現順天堂理事長)のお言葉について、自分たちなりに考えて活動していきたいです。

 この記事を読んで熱医研に興味を持ってくれた方とつながりを持てたらうれしいです。
 
 順天堂大学熱帯医学研究会のホームページ


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