医学生のフィールド
熱帯医学を通じて国内外で交流深める
順天堂の医学生団体「熱帯医学研究会」
国外研修で現地の患者さんと触れ合うことにより学びを深めることが、熱医研の大きな目的の一つでもあります。そのために勉強会で部員全員がしっかり知識を身に付けた上で、国内のHIVや結核の施設を訪れる実地活動をしています。
―勉強会はどのぐらいの頻度で行っているのですか。
武田さん 普段は月1回のペースで、みんなで学習内容を共有しています。国内、国外の研修の前には週1~2回に頻度を上げて昼休みに実施しています。
熱帯医学に関する基礎知識から疫学に及ぶ幅広い内容を扱い、タイと日本の比較データを自分で情報収集してプレゼンテーションをする部員もいます。
―国内研修では具体的にどのようなことをするのですか。
藤川さん 昨年(2018年)は長崎と熊本に行ったのですが、熊本大学にはエイズ研究センター(現在の「ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本キャンパス」)という、国内のエイズ研究のメッカのような施設があって、そこで最先端の研究をしている先生に講義をしていただきました。
講師への協力依頼も学生が順天堂大学の先生のつてをたどり、直接連絡を取って実現させます。自ら進んで行動したことがものすごく新鮮な体験で、国外研修に参加するに当たっても、自信が持てるようになります。その後の病院見学でアポイントを取るのにも、物おじしなくなりました。
◇海外の学生から刺激受ける
簡単に言うと、広い視野を持とうということです。歴代の先生たちも「熱医研から国際的に活動できる医師を輩出させよう」という熱い思いで活動の支援や指導をしていただいています。
―実際に海外の学生と交流してみていかがですか。
飯嶋さん タイやシンガポールの国立大学に行った時、現地の医学生は低学年のうちからしっかり医学知識をたたき込んでいるようで、レベルの高さに驚きました。改めて自分たちの未熟さや勉強不足を痛感しました。
武田さん 日本の医学生と決定的に違うなと思ったのは、講義やディスカッションに対する意欲的な参加です。私たちの大学では1学年130人ほどですが、できる限り発言したくないという学生が多く、積極的に発言するのはほんの一部という光景が一般的です。
―東南アジアの優秀な学生から刺激をもらった感じですね。
板垣さん そうですね。海外に行くとそれが当たり前なので、自然な形で積極的になれます。海外では質問の一つすらできないようでは医学生として失格だと思われてしまいますからね。
自分たちは学びたくて熱医研の活動を行っていますので、学習意欲があり、モチベーションは高いのですが、それ以上に、先方の好意の上で成り立っている施設見学だからこそ、きちんと態度に示して、受け入れてくれた方々の気持ちに応えたいという思いも強くあります。
(2019/10/11 15:04)