治療・予防

インフルエンザ「新薬」
学会は積極的に推奨せず

石田直・倉敷中央病院呼吸器内科主任部長

 ◇長い目で評価を

 倉敷中央病院(岡山県倉敷市)呼吸器内科主任部長でもある石田直同委員会委員長によると、提言をまとめる際に10人の委員の間でもゾフルーザについて、対象年齢に違いはあっても7人が非推奨とする意見だったという。

 石田委員長は「もともと発症期間を短くして患者の負担を軽減し、重症化を防ぐのが治療の目的だ。既存の治療薬で十分に効果が認められるのであれば、新しい薬の投与は、使用実績が蓄積されるまで慎重にしたい」とした上で、「ただ服薬中断が多いインフルエンザ患者に対して、1回の服用で済むのは、インフルエンザ治療において大きな意味があることは否定できない。慌てずに、長い目で評価していきたい」と付け加えた。

 ◇製薬メーカー、新資料配付へ

 製薬メーカーの意見はどうか。ゾフルーザを製造・販売している塩野義製薬は「処方を制限するものではない、と考えている。処方時の注意喚起と受け止めている」とする。その一方で、ゾフルーザを処方する医師の多くが一般の開業医であることを踏まえて、新たな研究成果なども盛り込んだ解説冊子などの資材を作り、今シーズンも積極的な情報提供に動いている。

対策の基本はワクチン接種や手洗いの励行などの予防

 同社医薬開発本部でゾフルーザを担当している上原健城部門長は「本格的に処方が始まった18~19年シーズンのデータに基づいた研究が発表される前の段階で、既に公開されている論文情報に基づいて小児科学会と感染症学会の見解が示された。今年の夏にゾフルーザの効能や他の治療薬に対する優位点などの情報は報告しているが、これらの情報をまだ論文化していない。これらの研究データが学術論文などの形で公表され、長期的な経緯の観察を続けていきたい」と話している。

 ただ、低年齢の小児については上原部門長も「5歳以下の小児で投与後に症状が再び強まる事例も報告されているので、このような患者に対しては新しいデータがそろうまでは慎重な投与が望ましい」と言う。(喜多壮太郎・鈴木豊)

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