医学部トップインタビュー
オンリーワンを目指す
広く世界を視野に―関西医科大学
関西医科大学は1928年、西日本初の女子医育機関・大阪女子高等医学専門学校として設立され、54年に現在の男女共学になった。建学の精神「慈仁心鏡」は第二期生が作詞した校歌の歌詞から得たもの。友田幸一学長は「女性が医者になるために勉強するなんて、とんでもないと言われた時代、医師を目指した方々は患者さんのために全力を尽くすという心構えだったと思う」と話す。
7年前に大阪と京都の中間、京阪電車の枚方市駅前にキャンパスを移転。2021年には国際交流センター・留学生の居室や全国から来た患者さん家族のための宿泊施設を備えたタワー棟が完成する予定だ。
インタビューに応える友田幸一学長
◇学生・教員比で世界3位
関西医科大学は「THE世界大学ランキング」に2年連続でトップ1000にランクインしている。英国の教育専門誌が世界の大学を研究の影響力や国際性などで順位付けをしているもので、ランクインするには大学が自主的にエントリーする必要がある。
2019年には801~1000位だったが、翌年の20年には501~600位へと大幅に順位を上げた。
「世界が評価する基準にどれくらい合致しているのか、常に客観的に見極めるために挑戦しています。正直言って、関西医科大学は世界ではほとんど知られていない。たとえランクが低くても毎年少しずつ上がっていけば、その変化をみて、頑張っていることが分かるし、将来的には伸びていく大学という印象も与えられる」と友田学長はその狙いを説明する。
部門別ランキングでは、学生・教員数比率で世界3位を獲得。学生を手厚くサポートする大学であるとの評価を得ている。その成果か、海外からの留学や研修の希望者も年々増えてきているという。
「今後はリハビリテーション学部の創設に伴い学生数が増える。教員数比率が下がるため順位を維持するのは難しいかもしれない」と友田学長。大学の状況も変わっていく中で、外部からの評価を受け続けるのは、なかなか勇気のいることだ。
◇ICTを積極的に活用
クラスアドバイザー制度、メンター制度などを設け、学生一人ひとりへのきめ細かいサポートを行っているのも、私立医科大学ならではの特徴の一つだ。ICT(情報通信技術)を利用した教育システムもフルに活用し、学生への個別対応を行っている。
関西医科大学
「インターネットを介して、絶えず質問を受け付けています。寄せられた質問には、できるだけ早く対応する。科目のことや学生生活のこと、何でも書き込めるようになっています」
臨床医としての技術を磨くシミュレーションセンターには100種類以上の機器を設置。医師が病院で診察するプロセスで必要となるすべてのシミュレーターがそろう。
「ある病気を設定し、どんな検査や治療を選択するのかを入力すると、その病気にふさわしい検査をしているかをチェックする機能があり、間違うと途中でストップします」
内視鏡手術のシミュレーターを使うと、「あなたの技術レベルはこれくらい」とジャッジされる。機器が指導的役割まで担う。
◇知識偏重の限界
大学の入学案内書に「メディカルドクター、サイエンティストを目指す学生を求める」と明記したことがあるという。
「なぜあえてそんなこと書いたかというと、成績優秀だから医学部に行きなさいと高校や予備校の先生に言われて入学したものの、本当に医者になりたいかどうか分からない。途中で精神的に耐えられなくなって脱落していく学生が毎年出てくるからです」
勉強ができる学生は、医学部入学のために丸暗記だけして、合格してしまう。ところが医学がどんどん進歩して、知識量が増えてくるため、入学後はそれでは対応できなくなってくる。
さらに、「医師の仕事は人間が相手なので、まずコミュニケーション力は絶対に必要です」と友田学長。それを見極めるため、入学選考では入学試験の成績だけでなく面接も重視して人物を確かめるよう心掛けているという。
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(2020/03/25 08:11)