特集

新型コロナで変わる中国の医療【上】
勢い増すAI ロボット オンライン診療

診療プラットフォーム「平安好医生」のアプリ画像。赤枠の「発熱診療」ボタンをタップすると、リアルタイムで医師の問診を受けられる

 ◇リスクを可視化

 このプラットフォームは、アプリ上で個人のリスク状態を可視化するもので、過去の行動履歴や健康状態に基づいて(1)赤=医学的に管理されるべき(2)黄=14日の隔離期間中(3)緑=行動可」-の3色に分けてリスクを表示。これによって、マンションや事業所、飲食店、公共交通機関などへの入場可否の判断をスピーディーに進めるものです。

 鳳凰ニュースは2月16日付で「上海市の16の区、243の社区を全てカバーし、総ユーザー数は1,033万人に達した」と報じました。新型コロナ感染が広がる非常事態とはいえ、急速に都市住民の必須インフラとして確立したと言えるでしょう。

 患者の受け皿となるオンライン診療のプラットフォームも利用が広がっています。

 ◇日本を先取り

 診療プラットフォームは従来から、「平安好医生」「微医」「丁香医生」「春雨医生」などが存在しており、中国の大手調査会社「智研諮詢」が公開したデータによれば、2019年4月時点で、累計ユーザー数は4,500万人を超えると言われています。ただ、その過半は病院の診療予約にしか利用しておらず、オンライン診療サービスを利用したユーザーは中国全土で累計2,000万人にとどまっています。

 一方、3月21日付環球時報(WEB版)は「同日までの新型コロナウイルス関連のオンライン診療件数が延べ2,073万件に達した」と報じました。今回のコロナ禍を契機に数カ月で過去数年の累計ユーザー数を上回る患者がオンライン診療を利用したことになります。

イメージ。本文とは関係ありません

 新型コロナ感染対策として、アプリ上に健康状態を登録して常時管理してサービス提供者と共有、問題が発生した場合にはオンライン診療プラットフォームに導く、という一連の流れが確立したとも言えます。

 日本の厚生労働省は新型コロナの院内感染予防のため、初診からのオンライン診療を認めました。この潮流をいち早く捉えたものとも言えるでしょう。

 オンライン・プラットフォームの利用拡大は、中国の医療サービスのあり方をどのように変える可能性を持つでしょうか。次回は、患者・医療機関双方の変化と今後の見通しについてです。(萬健治郎)

萬健治郎氏

萬健治郎氏(よろず・けんじろう)
株式会社コーポレイトディレクション副査
東京大学教養学部卒。日系医療機関(中国事業担当)、日系CRO(中国企業向け営業部隊立ち上げのための北京駐在)を経て、株式会社コーポレイトディレクションに参画
「中国×ヘルスケア」をキーワードに、日系の製薬会社・医療機器/医療材料メーカー・周辺システムメーカー等による中国市場参入支援、および中国戦略の(再)構築とその実行支援に従事してきた。
yorozu@cdi-japan.co.jp


◇オンライン診療、本格普及へ ~ 新型コロナで変わる中国の医療【下】~

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