特集

オンライン診療、本格普及へ 
新型コロナで変わる中国の医療【下】

 新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るい続けています。大規模な感染拡大を最初に経験した中国は、医療サービスの効率化に向けてAIやロボットの活用、オンライン診療など、さまざまな先進的な取り組みを進めています。その中でも特に注目されるのが、医療サービスのオンライン・プラットフォーム化です。オンライン診療の普及により、市民一人ひとりと医療との関わり方はどのように変っていくのでしょうか。

オンライン診療の保険適用ルールが定められている省・市・自治区(各種公開情報より筆者作成)

 ◇ボトルネックだった保険適用

 中国で「インターネット病院」が医療機関として最初に認可されたのは2015年です。しかし、当時は貴州省や銀川市(寧夏回族自治区)といった地方政府レベルでの「トライアル」的な色彩が濃いものでした。

 2018年に入り、4月には中国国務院は「『インターネット+医療健康』の発展促進に関する意見」を、9月には国家衛生健康委員会が「インターネット診療管理辯法(試行)等の3文書の交付に関する通知」を交付します。これによって国家レベルでオンライン診療に関する枠組みが整ったと言えました。

 しかし、14億人の人口を抱える中国でオンライン診療の利用者は約2,000万人に留まっていました。ボトルネックだったのは保険適用です。2020年3月時点で、中央政府の枠組みに従って31の省と自治区、直轄市でオンライン診療に関する細則が定められていますが、その中で保険適用に関するルールが公布されているのは14しかありませんでした。

新型コロナ感染症対策として打ち出されたオンライン診療に関する政策

 ◇「強い意志」

 新型コロナ感染症の拡大によってオンライン診療の重要性が高まると、中国政府は続々と政策を打ち出して推進を後押しします。

 特に重要だったのは、2月28日付で国家医療保障局と国家衛生健康委員会が連名で公布した「新型コロナウイルス肺炎防疫期間における『インターネット+』医療保険サービスの展開に関する指導意見」です。この中で、一般的な疾患や慢性病の診療をオンラインで受けた場合も保険適用の対象にすると明記しました。

 中国政府は、医療サービスにおいてオンライン診療が不可欠と認識。その地位を確立し、目の前の危機に対応するのだという、「強い意志」が見て取れます。

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