医学の窓辺

オンライン医学教育には教員側の工夫が必要!
~日本と欧米の医学生 18 名への質的なインタビューより判明~ 秋田大学医学部医学科5年 鈴木智也

 【背景】

 ◇ コロナ禍では世界中の教育機関がオンライン化を強いられた.
 ◇ 病院実習や解剖等の授業など,オンライン化に適していなかった医学教育もオンラインへ移行.
 ◇ 準備期間なく開始されたオンライン教育の医学生視点の現状やメリット・デメリット等を調査.

 【手法】

 ◇ スノーボールサンプリング法で集められた 13 人日本人医学生と 5 人の海外医学生(ノルウェー、スロバキア、ハンガリー)の計 18 名が最終的な解析対象.
 ◇ 2020 年 9 月から 10 月に 5 つのメインテーマによる半構造的質問をもとにインタビュー実施.
 ◇ 質問は①オンライン教育の実施状況、②利点と欠点、③教員、友人や家族との関わりの変化、④オンライン教育への意見、⑤特定の大学に所属する意味の5つであったが、自由な発言も許可.

 【結果】

 ◇ テーマ分析により.テーマ1は「時間の有効活用と柔軟性」,テーマ2は「技術トラブルとデジタルスキル不足」,テーマ3は「授業の質のばらつき」,テーマ4として「授業以外の経験の喪失」の4つに分類された.
 ◇ テーマ1では,大学や外部病院までの通学時間がなくなり自由な時間が増えた.勉強や睡眠、好きなことを自由に自分の時間を有効活用というポジティブな意見が多かった.
 ◇ テーマ2では,学生も教員もデジタル技術やインターネット環境への適応にばらつきがあり,不具合により授業が聞こえないトラブルや試験に間に合わなかったと訴える学生がいた.
 ◇ テーマ3では,授業資料や講義内容を提供する教員側の質や工夫にばらつきがあり,学生にとって質問しにくく,学びづらい状況が生じていることが明らかになった.
 ◇ テーマ4では,通学できないため,友人や教員との交流、研究や部活動などの課外活動が制限されたことにより,精神的なダメージを受けていた学生がいた.

 【考察と提案】

 ◇ 以上のテーマ分析結果から浮き彫りになったのは,コロナ禍で学生側も教員側もオンライン化への対応にばらつきが生じたことだ.
 ◇ テーマ 1 のようにポジティブな過ごす方ができる学生もいた一方で,急な自宅待機等の変化に適応できず精神的なダメージを受けていた学生がおり,大学側のサポートは急務といえる.
 ◇ テーマ2〜4の結果を参考に考えられた具体案として,オンライン教育では特に一方的ではなく学生とのコミュニケーション(質疑応答や雑談を授業中や授業後にも設ける等)や教員側がオンライン教育での授業内容の工夫(接続不良を考慮して、口頭だけでなく配布資料にその内容を載せる等)を重視すべきであると考える.
 ◇ 本研究結果が今後も継続されうるオンライン医学教育のさらなる発展に寄与することを願っている.

 論文の URL:https://www.mdpi.com/1660-4601/19/5/2840/htm
 責任著者:鈴木智也(医療ガバナンス研究所), 尾崎章彦(医療ガバナンス研究所)
 連絡先:鈴木(tomo1502@gmail.com), 尾崎(ozakiakihiko@gmail.com)


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