2025/02/13 05:00
誰にも言えない「尿トラブル」 女性泌尿器科医に高まる期待
超高齢化に伴い、泌尿器疾患の患者数が急増している。頻尿、尿失禁…
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◇女性泌尿器科医増加への取り組み
日本泌尿器科学会(JUA)では女性医師の増加と活用を目標に掲げ、06年に有志により「女性泌尿器科医の会」を発足させました。14年に男女共同参画委員会を設立し、19年にダイバーシティ推進委員会に名称を変更しました。ポジティブアクションの取り組みとしては、学術総会での女性医師の座長とシンポジストの比率を上げるために、推薦する女性会員のリストを学術総会の開催大学に提出しました。それにより、比率を3%以上にする目標を達成しました。さらに定期的にシンポジウムや初期研修医向けのセミナーを開き、研修でダイバーシティ推進委員会の活動を周知させる等、精力的な広報活動が功を奏し、大きな成果を上げています。
学会における座長・シンポジストの女性比率の推移(出典=日本泌尿器科学会)
◇20代の泌尿器科医2割が女性
日本泌尿器科学会会員は男女合わせて毎年300人ずつ増えていて、全体では1万人に達しようとしています。2000年に1.8%だった女性比率は23年9月には8.9%まで上昇しました。13年以降現在までに増加した会員のうちの28.1%*2が女性であり、20代においては2割を占め、5人に1人が女性泌尿器科医となっています。
近年、泌尿器科医に限らず女性医師はどの領域でも実力を発揮できる時代になってきています。特に腹腔(ふくくう)鏡やロボットの導入により、手術における体力的な差はかなりカバーできるようになりました。超高齢社会において泌尿器科医の需要は高く、女性医師に診察や治療を希望する女性の患者さんは増加傾向にあります。薬物治療と手術治療の両方を行い、診断から治療まで完結できるという泌尿器科医の仕事はポテンシャルが高く、泌尿器科を志す女性医師は増えてきてはいますが、その数はまだまだ十分とは言えない状況です。
日本泌尿器科学会男女別会員数の推移
◇男性中心の労働環境の見直しが急務
女性医師が増えたことで、男性医師が中心だった頃にはほとんど問題にならなかった結婚、出産、育児、介護といったライフイベントによる労働時間の制約や家庭とキャリアをいかに両立させるかが課題となっています。育休の取得だけにとどまらず、ワーク・ライフ・バランスを考慮した勤務形態、子育て時期の教育プログラム、といった女性の活躍を後押しするキャリア支援も必要とされています。2024年から始まった医師の働き方改革では、男女ともに多様な働き方が求められ、多くの施設が従来型の性別役割分業を前提としてきた労働環境や勤務形態の見直しが行われています。女性医師の家庭と仕事の二重負担を軽減し男性医師の負担を増やすことによる「マミートラック」の発生で女性医師のキャリアアップの機会を失うことがないよう、指導者層が共通した認識を持つことが望まれます。
◇女性医師だからこそできる医療を
医師になるための教育は非常に閉鎖的で、社会とのつながりや社会の中の位置付けに関しては教育が十分に行われていないと思います。医師は医療界という狭い世界の中で経験を積んでいるため、考え方や感覚が偏ってしまいます。今はダイバーシティを意識した研修を行うことが当たり前の時代になってきていますので、医学生や医師には可能な限り社会と接点を多く持つことが必要です。視野を広げるための教育を重視する時期に来ています。
泌尿器科は男性の患者さんが圧倒的に多いのですが、必ずしも泌尿器科医が男性である理由はなく、性別を含めて多様な医師が関わることで患者に対する治療やケアにおいて、今までにはなかった新しい発想が生まれてきます。女性医師が活躍できるポテンシャルは大変高く、特に女性患者は女性医師の方が病気を理解してもらいやすいと感じています。学生時代、成績が良く偏差値が高いから医学部に入ったという人もいるかもしれません。たとえきっかけがそうであっても、医師という職業で働くことを決めたからには、高い志を持ち、医師としてこうありたいという目標を見つけて努力してほしいと思います。
(2025/02/13 05:00)
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