不妊の解明に手掛かり
子宮内膜の細胞内でSox17という遺伝子の働きが低下すると、受精卵が子宮に着床できない「着床障害」が起こることを、東京医科歯科大大学院の金井正美教授らの研究グループがマウスの実験で明らかにし、医学誌オンライン版で報告した。
国内では体外受精による妊娠・出産が一般的になり、受精卵の培養技術などの生殖補助医療は目覚ましく発展している。しかし、受精卵を子宮に戻しても妊娠が成立しない「着床障害」も多く、その原因は十分に分かっていない。
同研究グループは子宮内膜でのSox17遺伝子の働きを半分にしたマウスをつくり、受精卵の着床過程を観察した。
その結果、Sox17遺伝子の働きが半減したマウスは、排卵、受精、受精卵の卵管から子宮への移動などは正常に行われたが、着床数が激減したという。
同研究グループは「Sox17遺伝子が着床に大きな役割を果たしている。今後はヒトでの解析を進め、不妊治療の向上へ新たな一歩を踏み出すことが期待される」としている。(メディカルトリビューン=時事)
(2016/10/01 15:47)