どうする応急手当て、自助と共助の心構えは
阿南英明・藤沢市民病院救命救急センター長【南海トラフ災害医療・下】
◇トリアージで決まる治療の優先順位
例えば、大地震の揺れで隣の家がつぶれて、はい出てきた中年男性の足が「くの字」に曲がり、若い女性が腕や唇に擦り傷を負っている、とします。あなたならどうしますか。
病院へ行っても人があふれ、いつ診察してもらえるかは分かりません。医師が言うのも変ですが、病院にはなるべく行かないでください。医師でないと対応できない重傷患者だけに対処させてください。
誰を優先的に治療すればいいのか決めることを「トリアージ」と言います。もしも被災で負傷したら、医師や救急隊員らにトリアージを受けます。病院では普段なら受け付けの順番で診療を受けるのに、自分よりも重傷の人がいれば100人でも200人でも順番を抜かれます。
トリアージでは原則として、迅速な救命が必要な重傷患者の右手首に「赤」タグを付けます。先ほどの中年男性は「黄色」区分に当たり、大災害時なら搬送は急がないと知っておいてください。翌日に骨を戻し、1週間後に手術したりすればよいからです。
(2018/03/10 19:34)