特集

加熱式たばこも「健康に有害」
専門医が警鐘―東京でシンポ

   ◇健康被害の監視を

 順天堂大学大学院医学研究科の瀬山邦明先任准教授(呼吸器・アレルギー疾患)は、これまでの紙巻きたばこやパイプなどを使って葉タバコを燃焼させることによる喫煙や受動喫煙との因果関係が証明されたとされる肺がんや慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)などについて説明した。

 その上で、欧米などで一足先に広がった電子たばこ(用語説明参照)の利用者のデータに基づいて同様の疾病リスクがあると指摘。「マウスに電子たばこのエアロゾルを慢性的に吸引させるとCOPDに類似した変化が生じる。人間で燃焼式と異なる特異な免疫反応を引き起こすことも分かっており、注意が必要だ」と語った。

 加熱式たばこの利用者の中からも、紙巻きたばこの喫煙者によく見られる「急性好酸球性肺炎」の患者が報告されていることから、加熱式たばこの喫煙・受動喫煙による健康被害を監視するよう訴えた。

 ◇たばこ吸っているとの意識希薄

加熱式たばこの普及の背景に、「喫煙」と意識してない利用者の存在があることを専門家は指摘する。大阪国際がんセンターの田淵貴大副部長は、インターネットを利用して2015年に実施した加熱式たばこの利用実態に関する調査の一部を報告。電子たばこや加熱式たばこの利用者1000人以上を対象にした調査では、紙巻きたばこが禁煙とされているレストランや職場で利用者の25%以上が「一度は使ったことがある」、15%以上が「よく使っている(いた)」と回答している点に触れ「加熱式たばこなら禁煙区域でも吸える、と思っている人がある程度いることが分かった」と述べた。

 さらに同調査では、「周囲で加熱式たばこを吸われた人」約1万人についても健康面での影響を質問した。このうち、1413人が「喉の痛み」(341人)や「気分不良」(460人)―などの健康被害を訴えていたことも報告された。田淵副部長は「喫煙者側が『たばこを吸っている』という認識なしに利用する可能性があるため、これまでの紙巻きたばこ以上に、周囲への健康被害に対する警戒が重要だ」と訴えた。(了)

◇用語説明

①加熱式たばこ

葉タバコを燃焼させず、直接加熱してニコチンなどを含んだミスト状のエアロゾルを生成・吸入することでニコチンを摂取する製品。たばこ事業法で「たばこ製品」に指定され、18年4月時点で、日本国内では3社から加熱方法などが異なる製品が発売されている。

②電子たばこ

加熱・気化させたリキッドを吸入する製品。海外でニコチンを含むリキッドを使った製品が「たばこ」の一種として使用されている。日本では法律によりニコチンを含んだリキッドの製造・販売が認められていないが、個人輸入の形で入手が可能で、一部で使用されているとみられる。


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