児童生徒の糖尿病に理解を
教職員向けに「教室」
◇適切治療で良好な血糖コントロール
適切に治療を受けている児童の多くは曲がりなりにも糖尿病の自己管理ができ、学校生活でも学校の先生や友達の助けを必要とするような重度の低血糖に陥ることはあまりない。先生方の目配りにより、「少し調子が悪くなったら、手近にあるあめ玉やブドウ糖錠を口に含ませる」「顔色が変わって様子がおかしくなれば声をかける」など、学校の教職員の日常の児童指導の範囲からあまり外れない対応で、十分にフォローができると内潟病院長は強調する。「夏休みなどに糖尿病の児童を集めて開催サマーキャンプを開催している。児童の元気さを知ってもらえれば、学校の先生も安心してくれるのではないか」と期待している。
同教室の時間は、1回約70分を想定。平日の午後の授業後に開催し、医師からの説明に30分、患者の体験談に20分と見込んでいる。その後、参加者からの質問や相談に答える時間も設けている。サノフィの高橋大治渉外本部長は「年内には全国10校への派遣を目指している」と言う。小児の糖尿病患者は同年齢の子供の中で10万人当たり1~2人だが、同協会とサノフィが17年、小中学校の教員を対象に行ったアンケート調査では25%が「糖尿病患児を受け入れた経験がある」と回答した。
高橋氏は「糖尿病の正しい知識や、糖尿病の患者さんが学校で直面している現状を多くの教師に知っていただき、糖尿病の児童が他の児童と同じように生活できる学校の環境整備をサポートしたい」と話している。
訪問プログラムへの問い合わせは「日本糖尿病協会」へ。 ファクス03(3514)1725、Eメール「office@nittokyo.or.jp」へ。(了)
用語説明
①1型糖尿病
血糖値を下げるホルモン「インスリン」が膵臓(すいぞう)から分泌されなくなり、血糖値の制御ができなくなる病気。発病した場合、定期的にインスリン製剤を注射の形で補充しないと生命に関わる事態に陥る。乳幼児期から発病することが多い。
② 低血糖症
血液に含まれる糖分が急激かつ大幅に低下する状態で、精神的に不安定になったり気分が悪くなったりするなどの症状が出る。状況によっては、意識を失うなど重篤化することもある。ブドウ糖や糖分を含んだ食品を摂取することで症状は改善される。原因としては、インスリンの過剰補充や予定外の運動や食事の遅れなどでも生じることがある。
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(2018/05/27 16:00)