(第5回)医療機器の高度、複雑化をどう学ぶか
教育現場の課題、役割担うメーカーも
◇新たな教育機会と期待
このサービスのパイオニアとして、20年前にいち早く提供を始めたのがボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社です。インターベンション治療に特化した同社の医療従事者研修施設「宮崎T&Eセンター(インスティテュート・フォー・アドバンシング・サイエンス宮崎)」(IAS宮崎)を訪れた医療従事者は1万人を超えました。
さらに、同社はIAS宮崎だけではなく、10年前に新たに東京・品川にも2番目の医療研修施設として、インスティテュート・フォー・アドバンシング・サイエンス東京(IAS東京)を設立、年間1000人近くの医療従事者へのトレーニングを担っています。
◇厳しい財政事情、影響懸念
医療機器については、病院からの値下げ要求や償還価格の下落などが、よく話題になりますが、本当に安ければ万事良い方向に向かうのでしょうか。もちろん国家財政自体が厳しい状況にあるので、「払いたくても払えない」ことは容易に理解できますが、とにもかくにも安くといった傾向が強まっているように感じます。
この傾向が強まれば企業としては、将来の価格下落に備えて最初の段階ではできる限り高い価格設定をしようという不健全なインセンティブが働くはずです。必要以上の価格下落によって、縁の下の力持ちとして付加価値を提供している医療機器メーカーが体力を損なうことにならないよう願います。(CDIメディカル・宇賀慎一郎)
株式会社CDIメディカルは、国内発の独立系経営戦略コンサルティングファームであるコーポレイトディレクションが設立した、メディカル・ヘルスケアに特化した経営戦略コンサルティングファームです。業界に関する専門的知見と、国内外医療関係者との密接なリレーションシップを基盤として、企業や医療機関の経営課題を解決すべく、さまざまなサービスを提供しています。
◇本社所在地 東京都品川区東品川2-2-4 天王洲ファーストタワー23階 電話 03(5783)4130
宇賀慎一郎(うが・しんいちろう) 株式会社CDIメディカル最高執行責任者。関西外国語大学外国語学部卒、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科修了(MBA)、ボストン・サイエンティフィック ジャパン、ジョンソン・エンド・ジョンソンを経て現在に至る。
→〔第6回へ〕変革が求められる製薬業界 IT企業などとの協働がカギか
←〔第4回に戻る〕IT活用で注目、「大健康」産業 中国で進化するメディカル・ヘルスケア
- 1
- 2
(2018/06/02 16:00)