話題

「バイオシミラー」への理解深めて
後続医薬品の普及目指しフォーラム―東京


 ◇選択肢として定着するか

 バイオ医薬品は、化学合成の医薬品と比べて分子量がけた違いに大きい高分子化合物で、開発・製造コストが高く、オプジーボで話題になったように薬価も高額だ。バイオシミラーの薬価もコストを反映してそれなりに高く、先行品の7割が基本になる。

 日本で初めての抗体医薬品のバイオシミラーは、関節リウマチなどの治療薬レミケード(一般名・インフリキシマブ)の後続品で、2014年に日本化薬が販売承認を受けた。飯村室長によると、田辺三菱製薬が販売する先行品のレミケードは1日薬価が2154円、日本化成のバイオシミラーは同1340円。ちなみに、バイオ医薬品ではない抗リウマチ治療薬は同100円を切るという。

 フォーラムでは、バイオ医薬品の現状に詳しい東京理科大の坂巻弘之教授を座長に、飯村氏と医師、薬剤師、患者の各代表4人がパネリストとして参加する形式で、シンポジウムも開かれた。

シンポジウムで座長を務めた東京理科大の坂巻弘之教授
 患者代表として参加した日本リウマチ友の会の長谷川三枝子会長は、バイオ医薬品(インフリキシマブ)の登場で、関節リウマチの炎症を抑える治療が目覚ましい進歩を遂げたことを紹介しながら、「患者には当初、(免疫機能の制御に伴う)感染症などへの不安があり、バイオ医薬品になじむのには一定の時間がかかった」と説明。4年前から販売されている後続品については「患者の家族であっても、バイオシミラーという言葉は、まだ浸透していないのが実感」などと話した。

 また、シンポジウム後の記者会見では、バイオ医薬品と一般の抗リウマチ薬の使い分けの必要性にも触れながら、「バイオシミラーは(薬価ではなく)有効性や安全性の面から、選択肢の一つとして考えていきたい。承認された一つの薬として、理解をしながら患者が選んでいければ、一番いい形になるのではないか」との考えを示した。

 ◇欧州の例引き、医療費削減のメリット強調

 厚生労働省は2015年の「医薬品産業強化総合戦略」で、「今後、売り上げ規模の大きいバイオ医薬品の特許切れが見込まれるため、日本企業もバイオシミラーに積極的に対応することが期待される」と、製造企業の育成方針を打ち出した。昨年6月に閣議決定された経済財政運営の基本方針「骨太の方針2017」は、2020年度末までにバイオシミラーの品目数を成分ベースで、当時の5成分から倍増させる方針を示している。

 ただ、バイオシミラーがかつてのジェネリックのように、使用促進への抵抗感を解消できるかどうかは、まだ見通せていない。記者会見で南部会長は「欧州では、多くのバイオ医薬品でバイオシミラーの占有率が先行品を超えている」と話し、その医療費削減効果を強調。「バイオシミラーに関する有効性や安全性を含めた正確な理解を促進したい」「医療費の適正化を通じて国民皆保険制度の安定的な維持に貢献したい」などと、協議会の今後の重点目標を説明した。(水口郁雄)

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