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抗菌薬は適正に
副作用には自衛も必要

 高齢者は免疫力が低下しているため感染症にかかりやすいが、細菌感染症に使う抗菌薬(抗生物質)による副作用も出やすいので注意が必要だ。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)老年病科の石井正紀医師は「持病や加齢に伴う機能低下を念頭に置き、正しく抗菌薬を選択することが重要です」と話している。

 ▽高齢者に多い多剤処方

多剤処方は副作用に注意
 内科や整形外科など複数の診療科に通い、何種類もの薬を飲んでいる高齢者は多い。しかし、多剤処方自体が副作用のリスクを増大させる。「薬剤は腎臓か肝臓で分解されて排出されますが、それらの機能が低下している高齢者が薬をたくさん飲むと副作用を起こしやすくなります。病気を治すための薬で逆に体調が悪化してしまうのです」と石井医師は説明する。

 その背景には、病院間や病院内の診療科間で処方した薬の情報を共有していないケースが多いことがある。また、患者がもらった薬をきちんと飲んでいるかどうか服薬状況も正確には把握できていない。臓器の機能が低下し、複数の病気を抱えている高齢者の特性を踏まえて総合的に診察する専門医も少ないという事情もある。

 石井医師は「医療者は患者任せにせず、積極的に他の医療機関に問い合わせることが必要です。患者にも自衛のため、お薬手帳やかかりつけ薬剤師を活用してほしい。認知症などで自己管理できない場合は、家族による確認が求められます」と話す。

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